6時起きからの二度寝で10時起き。ギリセーフ。
1月が終わった。ということで今日は待ちに待った月間まとめを書いていく。
はじめに
2024年の始まり、新譜を追い始めるのにもキリが良い時期ということで、先月は大量の音楽を聴いた。RYM記録では238枚ものアルバムを聴いていた。おそらく1か月の密度としては過去最大。ニートの本領発揮である。
去年は沢山音楽を聴いて価値観たるものを固め、作品に対して周りに振り回されず自分なりの評価ができるようになった。今回のように新譜を「選べる」ようになったのもその賜物だ。
月間ベスト新譜
ということで、新譜(アルバム&EP)のTOP9。
1月の新譜個人的TOP9(Topsters, GIMPで作成)
日本5枚、アメリカ3枚、イタリア1枚。新譜ディグは今回が初めてなので地域の偏りが出るのはしょうがないということで…。あと、そもそも順位付けをしていないため並びは考慮していないということも念頭に置いて読んでほしい。
それでは、ちょっとずつ紹介していく。
Katy Kirby - Blue Raspberry
アメリカのSSW・Katy Kirbyの2ndフルアルバム。 軽く埃を被ったインディー・フォークにチェンバーとロック。伸びやかな美メロ。ソングライティングの強度はもちろん、派手に飾りすぎない余白を活かしたアレンジとそれを活かしたダイナミズムの変化も素晴らしい。比較的シンプルな表題曲《Blue Raspberry》から激しくノイジーで優しくもある《Table》の締めという流れも良い。
個人的にはやっぱり《Cubic Zirconia》が好きすぎる!!!
優しさに包まれたい方にオススメ。
Susie Ibarra, Jeffrey Zeigler & Graham Reynolds - Insectum
Susie Ibarra、Jeffrey Zeigler、Graham Reynoldsの3人が共同制作した、虫をテーマにした実験的作品。ジャケットはさておき、虫が苦手な人でも聴けると思う。具体的な羽音のサンプリングなどは無いので安心してほしい。いや、やっぱり擬態した音を鳴らすことはあるのでやや注意かもしれない。
エレクトロ・アコースティックなサウンドで、クラシカルな側面もある。面白い音を鳴らしていて、ただ楽しい。民族音楽の趣さえあるように感じる。全体的にタッチが優しくメロディアスでもあるので、実験的でありながら聴きやすい作品になっている。
昆虫好き、ミュージカル好きの方にオススメ。
JYOCHO - 導き、捧げて
元宇宙コンビニ・中川大二朗率いるマスポップバンド・JYOCHOの4thEP。
爽やかなポップス好きの方にオススメ。
Angry Blackmen - The Legend of ABM
アメリカのヒップホップユニット・Angry Blackmenのデビューアルバム。
暴力的でインダストリアルなビートの上で畳み掛けられる硬派なラップ。カッコいいとカッコいいの相乗効果だ。私は海外ヒップホップの正しい聴き方というものを知らないのでビートとフロウと雰囲気だけを味わっているが、とりあえずそんな表面をなぞっただけでも滲み出る怒りの存在を感じ取ることが出来た。リリックが出たらちゃんと確認しておきたい。
ヒップホップ好き、金属音を欲している方にオススメ。
酩酊麻痺 - 光
東京発ツーピースタイマンバンド・酩酊麻痺の4thEP。まず、それぞれがドラムを半分ずつ担当するとかいう変則的な構成から興味をそそられた。もちろん音もスギョイ。
最初はドリーム・ポップな《船のうた》。ジャケット通り素朴で明るい。ところが続いての《空気》で音像が激しく歪み出しノイズ・ロックへ、《知らない窓》は歪みを保ちつつポスト・パンクに寄る。怖い!
ピアノの弾き語り《海へ》、リズムマシンの無機質なクラーヴェが特徴的な《朝のはなし》で一旦落ち着いたかと思いきや《がんばろう》…超絶激しいノイズに覆われ、ただ圧倒されるまま終わってしまった。
自分もがんばりたい。
白昼夢からノイズの嵐まで楽しみたいサウナ好きの方にオススメ。
角銅真実 - Contact
藝大出身のSSW・角銅真実の4thフル。
楽しければ楽しいほど時間は早く過ぎてしまう。この作品の収録時間は1時間を越えているが、私はすんなり聴き通すことが出来た。
ベースはしなやかな室内楽。時にはパワフルに、時には華奢に色を変える。ローテンポからハイテンポまで、民謡《長崎ぶらぶら節》をカバーしたり、フィールド・レコーディングに寄ったりとアプローチも幅広い。繊細な歌声からは自由を感じる。
暖かく遊び心があって日本的な音に包まれたい方にオススメ。
Yan Seku - NATURAL PUNKS
元Tajyusaim Boyz、Young Sex改めYan Sekuの1st。パワー枠として選出。
常に拡声器から放たれているようなやかましいラップはとにかく勢いに溢れている。オフビートでぎこちないフロウ。荒削りだけど、何せかなりのエネルギーがあるので良いと思ってしまう。タイトルもピッタリだ。
トラップ基調の中にポスト・パンクの風味を感じたりする曲もチラホラあったりする。kZm《TEENAGE VIBE》とかそこら辺にも近い?《青春真っ只中》で生ドラムが入りヒップホップというよりパンクに、《大きく動く》ではディストーションすら消えてついには古めかしいフォークに…という流れもかなり面白かった。ヒップホップに留まらない柔軟さは千葉祐樹(KOHH)のプロデュースによるものなのだろうか?
ただ純粋なエネルギーを浴びたい方、ストレスが溜まっている方にオススメ。
Sara Parigi - Stanza
イタリアのSSW・Sara Parigiの1st。
エレクトロ・アコースティックなサウンドが基本。柔らかくも刺激的な展開を繰り出すオケを説得力のある上品なボーカルが牽引し、風変わりなアート・ポップの形に固めている。メロディセンスというのか音選び、配置が面白い。一聴して分かるようなインパクトは少ないが、30分の密度としては簡潔で程良いと思った次第。
ちなみに私はイタリア音楽の特色について無知に等しいため、日本やアメリカのものとの差異を上手く表現できる語彙を持ち合わせていない。他の作品に比べてかなり漠然とした「良さ」を感じている。ともかく自分の感性によると「良い」らしい。
異国の音楽を楽しみたい方にオススメ。
(2024/04/14追記:今聴くとかなりBjörkで、そこまで面白いわけでもない。)
ZAZEN BOYS - らんど
向井秀徳が率いる変態バンド、ZAZEN BOYSの14年振りとなるフルアルバム。
ファンク好き、熟練のバンドサウンドを楽しみたい方にオススメ。
月間トップ再生
1月の再生回数TOP9(Finaleで作成)
1位・Liturgy(108)
1/9に昨年話題になっていた『93696』の手ごたえがイマイチだったことから繰り返し聴き始めた。結果、過去作含め色々聴いて固まった『93696』の評価は「悪くはないが特段良くもない」。つまらないことはないが、やっぱり何回聴いても長い。曲単位では良いものもあるけど、1時間強は長い。過大評価な気がしてならないが、正直、もう少し周辺のブラックメタルを聴かないとまだ判断がつかない。
2位・Meshuggah(95)
「Meshuggahへの愛をぶちまける」を書く際に聴き直していた。頓挫中だけど、いつかまたやり直すつもりでいるのでお待ちを…。
聴きまくって聴きまくって、今現在は一周回って《Bleed》が好き。最上級の演奏難易度を誇るだけでなくリズム構造を取ってみても素晴らしい楽曲なので、インパクトだけで消費されちゃ本当に勿体ない。Yogev Gabay氏の解説動画をぜひ。
彼の解説動画に無い要素として「回転リフ」が挙げられる。こういうことについても早く説明してえ!!!という気持ちが空回っているが、もう少し空回らせておく。
3位・David Bowie(92)
1/5、The Last Dinner Partyの新譜経由で彼女たちが影響元に挙げていたことから。とりあえず3rd~11thまで聴いた。良かったのは、『Ziggy Stardust』はもちろん、他には『Aladdin Sane』と『Low』。次点で『Hunky Dory』と『Station to Station』。
基本的には何回も聴けそうなものばかりだった。深い。それにまだ半分の作品も聴いていないらしい。深い。加えて、ますます『Ziggy Stardust』の魅力が浮き彫りになってきたような気がする。結局あれって実験的云々を抜きにした直球の良さが詰まっているんでは。深すぎる!Bowie沼が~!
その他ビビッときた曲
- 家主《ひとりとひとり》《歩き方から》
純粋に良い 歌詞も - Traitors《Menace to Society》
Anastasia Seredaの動画で知った - Weezer《Undone》《Falling For You》
ちゅっちゅ - cero《Fdf エフ・ディー・エフ》
『e o』でこの曲しか分からん - Orkun A.《Lis (Bloom)》
トイピアノにも近い感触でふわふわ浮く - Pavement《Conduit For Sale!》
カッコよすぎる気の抜け具合 - CHUCK TAYLORS《20》
奥田民生系90'sロック - The Last Dinner Party《My Lady of Mercy》
明日のフルアルバムが楽しみ - Pile《You Get To Decide》
重々しいドラム mM7からの爆発がたまらん - 반도 [BANDO]《강, 상류 [Upstream]》
韓国産ジャズ Fusion Gugakというジャンルでもあるらしい - Town Portal《Bonus Trigger》
SpotifyのDiscover Weeklyから - yonige《Exorcist》
新譜の中でも毛色が違って面白かった曲 前半はインダストリアル・メタルまである - Squarepusher《Baltang Arg》
わからんけどいいね - レトロリロン《DND》
グルーヴィなR&Bポップス ユニゾンの厚み - 海の散歩《After the Daydream》
GOOD Shoegaze - Daughters《The Reason They Hate Me》
こんなところでもMeshuggah式リズム(5×6+2) - あらかじめ決められた恋人たちへ《Contact》
ハンマービートでみんなハッピー - 川音希《キセキのヒカリ》
ナチュラルな変拍子のぶち込み - Coast Contra《GIVE AND RECIEVE》
最高のブーン・バップ - Lynard Skynyrd《Free Bird》
ギター多すぎて面白い 長いけど良い - Enfants《デッドエンド》
コールド・ウェイヴとメロディックメジャー(Mixo b6)の相性 プロダクションも良い - Dissumulator《Lower Form Resistance》
スラッシュ・メタルは生きている - Bray Me《SEEKER》
直球ロック+α 滑らかな同主調転調+変拍子が素晴らしい - Frank Carter & The Rattlesnakes《Happier Days》
雰囲気 - Timi Dakolo《Men Of The South》
ナイジェリアのR&B 民族音楽テイストが強い - Blood Red Throne《Tempest Sculptor》
血気盛んなデスメタル 後半のブレイクダウンで目が覚める - FOMARE《Needy》
食い気味変拍子 アウトロの転調タイミング面白い - 森ゆに《ねむの木の陰》
滝廉太郎とか山田耕筰とか童謡/唱歌の感じがあって好きだ - 文坂なの《好印象な恋しよう》
Dead Or Alive《Like A Record》に似ている ツボを攻撃されてしまった - Dead Poet Society《HURT》
MUSEみたいに大仰な雰囲気 ギタートーンはDjent ダブルトレシーロは永遠 - ゆうべの星《エトセトラ》
元まん腹 可愛らしい渋谷系ポップス ハーモニーおもろ - Kill The Thrill《Autophagie》
イタリア産インダストリアル・ロック/メタル ゴス風味の強いボーカルも良い
総括
聴きすぎた。そんで書きすぎた。変に気取って堅苦しい文体になってしまったことを反省している。今後は気を付けよう。明日のThe Last Dinner Partyの新譜楽しみ。というか明日新譜多すぎる。
今日はここいらで、おやすみなさい。