音楽を食べていくよ!

音楽以外も食べていくよ。

本日リリースの音楽について書き連ねる【今日の吸収 #256】

 

おはようございます。8時起き、早起き成功です。

今日は感想部分を常体にしてみます。

 

💿JYOCHO - 導き、捧げて e.p (2024)

 

 

まずはJyochoの4th EP。初耳のアーティスト。タイトルトラックはアニメ『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 2nd』(なろう系特有の長さ!)のエンディングらしく、YouTubeのコメント欄などを覗くと海外からの人気も伺える。

暖かくもヒネくれたメロディとハーモニー、諭すような言葉の乗せ方など、People In The Boxにかなり近いサウンドだ。しかしこのバンドにはキーボードとフルート(!)担当がいる。より多彩にオリエンタルな世界観を確立しているように思える。

ギター担当・だいじろーは元宇宙コンビニ・中川大二朗だと知り、合点がいった。

《導き、捧げて》はのっけから5+6+5+8(=24拍子)プログレ・ロック/メタルでよく見られる加算変拍子が用いられている。一見複雑だが、冒頭の手拍子(裏でも小さく鳴っている)を2回繰り返せばピッタリ収まるリズムになっている。

軽やかなアコギとアコーディオン、フルート。まっすぐ一音一音を発音するボーカル。ダイアトニックでありながら浮遊感のあるメロディは何気に四抜き音階。最後は手拍子で終わる。完成度の高さに痺れた。

続いて5+6=11拍子から始まる《人だった》。先ほどよりヒネくれていてピープル度が高い。サビが良い。《栄えた都市》は8+7=15拍子のピアノリフ。こちらもピープル度が高い。ドラムがボカスカしていて良い。最後の《惑星かぞえて》はテンポを落とし比較的シンプルなバラードに。落ち着いたサビの安心感。ロングトーンが透き通る。2番の裏で駆け回るギターがとてつもなく心地よい。

ぬるい光に照らされるWindows XPの壁紙みたいな草原に行きついたわん。

💿キタニタツヤ - Roundabout (2024)

 

 

続いては流行の先端を走るSSW、ボカロP・こんにちは谷田さんとしても知られるタニタツヤの3rdフルアルバム。タイアップが多い。

オープナーは《私が明日死ぬなら》。バース部分はもろもろの要素からカンザキイオリ《命に嫌われている》を思い出す。サビの爆発力は中々。歌上手いなあ。

《青のすみか》は所々見られるマス・ロック的なアプローチに希望を見出しつつも、まだ丸サ進行なのかというつまらなさがあった。学校のチャイムのメロディを引っ張ってくるところは秀逸。

《Moontheif》はローパスを通し丸みを帯びたハード・ベース的ベースライン(ドンクベースと言うらしい)とEveを思わせる言葉の畳みかけで始まる。サビは一転してフューチャー・ベースになる。こういったエレクトロ系のアプローチの一方で、《スカー》で激しめのロックもやってのける。

しかし《スカー》はバンドサウンドの天井が低く(全体的に高音が弱くパサパサ)、結果ボーカルが浮いてしまっているのが曲自体が良いだけに勿体無く思う。

《キュートアグレッション》《化け猫》《月光》《ナイトルーティーン》では丸サ進行ないし436進行を多用しているが、「ベタなバラード」「リリースカットピアノ」「ジャージー・クラブのリズム」…またはコード自体の入れ込み方にもバリエーションを持たせるなど、幅広いアレンジによって差別化しマンネリを防いでいるところは流石だ。

ボカロ勢としてまたひとり、幅広くマルチな才能を感じる1枚。

💿角巻わため - Hop Step Sheep (2024)

 

 

ホロライブ所属のVtuber角巻わためによる3rdフルアルバム。Vtuberにそこまで興味は無いが、本日リリースの新譜ということで分け隔てなくチョイス。ヒツジモチーフらしい。思えばこういった架空の(?)二次元キャラクターの曲とやらはあまり聴かずに生きてきた。強いて言えば、幼少期に車の中で流れまくっていたアンパンマンのキャラソンくらいだ。モブみたいなキャラにも持ち歌があるのが面白く、ナガネギマンの《ナガネギフラメンコ》はよく覚えている。

閑話休題。最初の2曲は「うたのおねえさん」的な上手さが目立つ。《Fins》はイントロからクオリティが違っていてクレジットを見るとポルノグラフィティの2人の名前があった。豪華だ。語尾を意識した歌い方もカッコよく決まっていて、かなり爽やかなナンバーだ。

《Go my way》ポップ・パンクな曲調に合わせて声質を太めに変えてきて、やっぱ歌上手いんだな、と思った。続いての《Now on step》はフレデリックに寄せた雰囲気がある。

《What an amazing swing》はFAKE TYPE.の提供。ドンキーコングみたいなブラスが気になる。2:02~でトップハムハット狂お得意の変則フロウが歌われるが、舌が回り切っていない印象を受ける。やはりFAKE TYPE.は歌手側のスキルが求められるらしい。こういう粗の部分はファンからしたら「萌え」として受け取られるのかな*1、と3776を聴いたときと同じようなことを考えた。

《Watameister》は水曜日のカンパネラケンモチヒデフミの提供。水カンらしさが存分に表れたEDMポップスになっている。一番キャラソンらしい曲でもある。

《夢見る羊》《Happy day to you!》は堀江晶太の提供。彼はボカロP・kemuとして活躍していることでも有名だが、前者の言葉数の多さ以外に「ボカロっぽさ」を感じる部分は少なかった。癖のないポップも書けるいちミュージシャンとしての手腕だろう。

普通。

💿PEOPLE 1 - 星巡り、君に金星 (2024)

 

 

東京出身オルタナバンド・PEOPLE 1の2nd。去年の7月に聴いた1stはあまり耳に残らなかったが、どうだろう。

イントロ《PEOPLE SAVE THE MACHINE》から攻撃的な電子音に覆われフィーバー状態に持っていき、その勢いで《銃の部品》に放り込まれる。オートチューン、切り刻まれたイントロ、4つ打ち、ラップ、キャッチーなサビ。ここまで1分もない。序盤からこれでもかというほどエネルギーが詰め込まれていて、非常に楽しい。

次の曲《YOUNG TOWN》は落ち着いている。そのまま滑らかにテンションを落としアコースティックなバラード《紫陽花》に移る。《銃の部品》が足し算ならこちらは引き算の美学。歌詞も洒落ている。サビの短3度上転調も効果的。正直言ってここまでの流れがピーク。

《closer》はちょうどいいやかましさ。その題に反してアルバムの中間に置かれているのもミソ。敢えて音圧を下げチープに仕上げているであろう《ドキドキする》も好き。独特な歌謡テイストが面白く、これほど主流のバンドが「バックルーム」という単語を用いていることも注目に値するのではないか。

硬派なロックチューン《高円寺にて》も良い。ここで直球は効く。

他の曲は苦手かもしれない。

《Deadstock》はとにかく安直。《DOGLAND》は渋いラップスタイルのバースと元気なサビとの高低差で耳キーン。《Ratpark》はBメロのハーフタイムやArctic Monkeys味のあるギターが面白かったが、2番のトラップアレンジやサビ途中の取ってつけたような転調でプラマイゼロといった印象。

今あげた3曲の転調はぎこちなく無節操で、かえって楽曲のダイナミズムを損ねているように思える。人工甘味料

これは苦手とかいう話ではないが、《GOLD》のサビには少し引っかかる部分がある。裏で鳴っているダブルドミナントのm7に対し「ああああ~」の着地点がM7になっていて、ぶつかっている(1:01~)。違和感を紛れ込ませるテクニックと見たが…無意識の産物だとしても面白い。良いとか悪いとかじゃなくて。

King Gnuより保守的に暴れ回る、若々しいミクスチャー・ロックだった。

 

👑優勝

本日優勝したのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハサミ人間✂ でした。

準優勝は、イデア界のハサミ人間です。

 

今日はここいらで、おやすみなさい。

 

*1:それが悪いというわけでは一切ない