なるたけ遠くに逃避計画

THE ULTIMATE ESCAPE PLAN

ボーっと在宅フジロック

 

フジロックを生配信で視聴。Amazonさんありがとう。本当はコーチェラのときみたいにスピーカーで聴きたかったが、残念ながらうるさくできる状況ではなかったのでイヤホンで。リバーブを弱くかけて臨場感を足して楽しんだ(この記事を参考に設定)。

 

11:40 - 渋さシラズオーケストラ

オーケストラという名を冠するだけあって、やはりメンバーが多い。ぞろぞろ。スイカの浮き輪に赤と緑の服を着たダンサー。「STOP GENOCIDE」と書かれた紙。#FreePalestine。チリのフォークシンガー・Víctor Jaraが反ベトナム戦争の意を込めたという《平和に生きる権利》をユニゾンで合唱し始めた。のっけからフィナーレみたいな盛り上がり。11拍子の曲も良かった。ラブ&ピース&御祭騒ぎ。問答無用に楽しすぎるビッグバンドの圧。白塗りボディペイントの女性ダンサーが普通にtkb出してた。

 

12:45 - ROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRA
なんか有名な人が出るらしいので観た。今度もオーケストラ(バンド+ブラス)。最初はTOSHI-LOW。バキバキの上半身を披露。一発目はなんとMotörhead 《Ace of Spades》。Rock'n'Rollっていうくらいだからもっと古典的なのかと思ってた。大好きな曲なので、激歪みベースリフで反射的にブチ上がってしまった。疾走ヘヴィメタルにブラスセクション、鬼に金棒でカッコよすぎる。次のGLIM SPANKYはJefferson Airplaneの方の《Somebody to Love》とThe Byrds《So You Want to Be a Rock 'n' Roll Star》。フィンランドの新星ガレージ・ロック・バンドのUSも良かった。腕を後方に組んだLiam Gallagherスタイルで嗄れ声のボーカル好き。ゴッチはThe Who《My Generation》と清志郎版《Imagine》。トータス松本が歌ってたOtis Reddingは知らなかったのでチェックしよう。アウトロでかき回して捌けて終わったかと思ったら司会に「トータス松本~!」と元気に叫ばれ、再び登場して盛り上げ、また捌けて登場してをクドく繰り返しててジワジワ面白かった。最後はマイクリレー式にThe Birthday《涙がこぼれそう》ダブver。チバ~;;笑いあり涙あり(?)で良かった。

 

14:20 - Friko
話題になった1stアルバムはピンと来なかった。ライブで化けるタイプかも、と思って観てみた。みんな楽しそうに演奏していた。動きも演奏もしなやかでキレがあって良かった。ボーカル・Nikoが「風里鼓」と書かれたハチマキを付けていた。ギターヘッドにトンボが止まっていた。(用事のため途中離脱)

 

15:10 - Original Love Jazz Trio
初めてちゃんと聴いた。オルガン・トリオ編成。本格的なジャズではなくソウルとロックンロールが強めに入っている。全員カッコいい。時代を超える最強ナンバー《接吻》はもちろん、《悪い種》や《ソウルがある》も良かった。巧みな演奏と「ソウル」を目の当たりにして、折坂悠太を思い出した。同種の色気。

 

18:30 - King Krule
初めて聴いた。ベースラインがカッコいい。でもいまいちハマらない。UKブリストルポスト・パンクだという情報は知っていたけど、そのジャンルの平均かちょっと上くらいの感触。あまり面白味を見出せず。Black Country, New Roadすら分かってないので、理解のために頑張ってみる。まずはアルバム聴こう。

 

20:30 - Floating Points
目が疲れてきたので音だけ聴いていた。良いけどあまり刺激は無い。爆音で聴くべきだったのかもしれない。テクノ系においては、自分にとってしっくりくる聴き方/乗り方を模索している最中なので、薄い感想しか出てこない。

 

21:30 - The Killers
初めて聴いた。存在すら知らなかったけど、SZAの代打ヘッドライナー、20年ぶりの来日となれば見逃すわけにはいかなかった。コテコテの80s的ニュー・ウェイヴ/ポップ・ロックという、個人的には苦手な音楽性だった。でも楽しめた。Elvis Presleyみたいなリーゼントヘアのボーカル・Brandonが終始キラキラしていた。それに対してギター、ベース、ドラムはそれぞれ違うタイプのモジャおじさん。服も黒くて主張が控えめなのがなんか面白かった。多くの曲でシンガロングが起こる。ついていけないはずの私も、大盛り上がりの気迫に押されてついテンションを上げてしまった。一番印象的だったのは、一般客(?)のワタルさんをステージに上げてドラムを叩かせるところ。ドラマチックで良かった。この流れはどうやら彼らの恒例行事のようで仕込みではないらしい。*1ワタルさん凄かった!胸熱だった。

 

出会い。それと、

今日観た日本人アーティストの全員が、反戦の意思を掲げていた。

 

備忘録:長谷川白紙『口の花火』のインストール

 

《口の花火》、好きすぎる。どうなってんだろう!

 

youtu.be

 

ドン・ドン・タタタ!

 

 

 

血沸き肉躍る「ドン・ドン・タタタ」、まずはドラムでこの16分音符7拍分のモチーフが32回繰り返される!7/16×32=7/8×16=7/4×4なので色んな乗り方ができるぞ!おすすめは7/4!なんでかって、16分と8分で取ると忙しいし、割り切れる場合は出来るだけ大きい単位で拍を取ったほうが滑らかに聴けるから!そして何より、この曲の骨組みがほぼ4分音符で出来ているからだ!4分音符1個分のアウフタクトで楽曲が始まっていること、あとは以降の分析からそのことが推測できる!

 

(以下、自分が気になったところだけ、雑にすくう)

 

クラビネットとか色んな楽器が入って騒がしくなってから(0:28~)はハッキリと4拍子だ!キックは「ドン・ドン・・ドン・・ドン・・・」と16分音符16個分すなわち4/4のフレーズを繰り返し始めるぞ! ざわめきの中でクールに粒立ち抜群の点線を紡ぐSam Wilkesのベースが最高なのは言うまでもない!

 

最初のバース(0:44~)も同じく4/4拍子だ!ここでメロディのリズムに注目してみよう!前のめりな印象になるアウフタクト、軽快なラテン由来のトレシーロ(3+3+2のリズム)、そしてモチーフの「ドン・ドン・タタタ」と同じ割り方(2+2+3)をした7拍節のグループが確認できる!ピッチについてはド、ミ、ファ、ソの四音しか使っていない!やはりリズムに重点を置いているのか!

 

バース(0:44~)

 

 

次はコーラス(1:08~)だ!ここでは付点のリズムが大活躍している!付点というのは要するに音符の長さを1.5倍にする魔法で、拍頭に合う偶数のノリに対して緊張を生む奇数のノリを作り出し、リズムを複雑に彩ることが出来る!

 

コーラス(1:08~)※フレーズのアクセント部分だけを簡易的に表記

 

ポピュラー音楽において代表的な付点のリズムは?やはり上でも挙げたトレシーロだろう。8拍を3+3+2で割ったもの。3部分が付点。有名どころだとEd Sheeran《Shape of You》、SMAP世界に一つだけの花》、Creepy Nuts《Bling‐Bang‐Bang‐Born》とかに生息している!最近流行りのJersey Clubのリズムパターンだって、後半はトレシーロになっている!長谷川白紙は《砂漠で》で分かりやすく使っている。

こいつを倍に引き延ばしたダブル・トレシーロ*1もある!16拍を3+3+3+3+2+2に割ったもので、その名の通りダブルだ!マクロに捉えるとこれもトレシーロに還元できるとはいえ、アクセントを考慮して別物としよう。日本のポップスだと小室哲哉が普及させたらしく*2TRFEZ DO DANCE》、相対性理論人工衛星》とか。長谷川白紙は《o(__*)》《毒》で使っている。

で、これよりさらに長いもの、言うなればトリプル・トレシーロも存在する!コメティック《くだらないや》の2番Aメロでは32拍を3+3+3+3+3+3+3+3+2+2+2+2に割っている!三倍!最近のだとCharli xcx《B2b》のベースライン*3も。そしてその先もある。四倍のクアドラプル・トレシーロだ!!!トレシーロ亜種についてはSoundQuestの最近更新された記事でもまとめられていて、テクノ/ダンス系にはシーケンサーを活用して際限なく付点を並べ続けるもの*4も少なくない!

ようやく本題に戻る。今回の《口の花火》の場合は、八倍のオクタプル・トレシーロが使われている!…オクタプルなんて言ってみたかっただけで、いちいち大仰な名前をつける必要などない。付点が多ければ多いほどいいわけではない。面白いのは、長谷川白紙がこの構造を一番手前の層にある歌メロに活用しているということ!

NEXT引っかかりポイント!大きく飛んでブリッジ(2:20~)。転調*5変拍子でビックリしちゃう。でもここは4分音符-4拍子の骨組みに身を任せて聴くと、滑らかに繋げて乗ることができるのだ!

ブリッジ(2:20~)4拍子4小節分に収まる。※分かりやすさのために分母を統一

 

8/8は4/4で4/8は2/4だけど、全部8分音符単位で書いた方が分かりやすいからそうしているぞ!簡単な足し算だ!8分音符が32個あるということは、4拍子4小節を変則的に分割した結果だと分かる!ただ、4拍子と言われても、4拍子の枠を明確に示してくれる楽器がいない*6ので少々乗りづらくはある!あなたの身体に8分音符のメトロノームが備わっていれば出来るはずだ!

次はポスト・コーラス(2:29~)。〈固まるスクリーン、 て感じで〉のところにビックリする。ガタつく。しかしこれは4+4+4+3の構造の上で暴れているに過ぎない!

 

ポスト・コーラス(2:29~)しばらく4+4+4+3を保つ。※13小節目は雑に採譜

 

長いけど、こうなる。4+4+4+3を三回繰り返して、最後に4/4と7/8を一回。頭に「この曲の骨組みがほぼ4分音符で出来ている」と書いたのはここの7/8があるからで、一貫してきた4分音符のノリが途切れるのが面白い!

メロディは、こうやってわざわざ数えなくても耳に残るくらいにはキャッチー。7拍モチーフを含むバース冒頭を再現、リズムも良く分からんけど気持ちいい。採譜していない点だと、コード進行も面白い。引き延ばされた形でのIV-V-IIIm7-VIm=王道進行が確認できる(1~6小節目)。こんだけ攻めまくってもポップスど真ん中の要素をぬるっと入れてくる!憎いね白紙!

それで、ガタつく〈固まるスクリーン、 て感じで〉のところだけを拡大してみる。

 

ポスト・コーラスの7,8小節(2:39~)メロディとキックのズレ。

 

きっと、多くの人はここが一番よく分からないんじゃないかと思っている。仕組みは簡単。16分休符が最初に一拍あって、あとは付点、付点、付点。《砂漠で》のイントロ*7と同じ要領。問題なのは、キックが素直にメロディに追従してくれないこと。「か」「た」で合って、そっから16分音符1個分ズレて、「ん」「じ」で合流。キックを聴いていたら迷子になるので、前の小節から流れでデカい拍構造を大きく意識しながら聴くとよろしいかと!

それで最後の引っかかりポイント。2:54~。「ドン・ドン・タタタ」のモチーフが帰ってくる。…惑わされるな、それでも4+4+4+3だ!!

 

ポスト・コーラスの最後(2:54~)7拍モチーフでポリメーター。

 

7拍モチーフを7回繰り返すポリメーター、11(3+2+2+2+2)で帳尻を合わせる!面白い!*8ただ一つだけ気になることがある。もし帳尻合わせのフレーズが8分音符1個分短い9拍(3+2+2+2)なら、さっき言った「7/8で4分音符のノリが途切れる」ことが無くなって、一曲通してスムーズに乗れるようになる。ではなぜ、そうしなかったのか?

自分は、単一の秩序やフレームワークに支配されてしまうことに対する反抗精神…そこまで強いものではなくともそういった流動性の顕れ、だと解釈している!いや、普通に他の曲でずっと4/4なのあるし、違うか!まだ頭が足りていません!

 

ちなみにこの後の間奏(3:02~)は4/4!変調した声が13拍子(7+6)でバース直前まで鳴り続けてポリメーターを形成しているぞ!もちろん最後のバースも4/4だ!

 

はい!

終わりです!

 

たぶん大事なのは、頭でっかちになりすぎないこと。この記事を読んで一度頭でっかちになってしまった方は、頭のサイズはそのまま、身体のサイズを頭に追いつかせるよう頑張ってみてください(冗談ではありません)。無意識の中に沁み込んだら、一時的に忘れながら、より音を楽しめるようになっているかも。

 

自分はこの過程を経てスタート地点に戻り、色々考えています。

 

原文:上野動物園のキリン(声が大きい方)
翻訳:上野動物園のキリン(声が小さい方)

 

*1:MTO 20.2: Biamonte, Formal Functions of Metric Dissonance in Rock Music

*2:trfが日本のポップスに与えた影響 - Real Sound|リアルサウンド

*3:付点が後半まで詰まってるから《くだらないや》とは若干パターンが違う。

*4:もはやここまでいくとトレシーロの面影はなく、ポリメーターと言うべきだろう。

*5:共通音の多い属調への転調、かつ1番コーラス後半のIIm9で本来共通音でない#11=Eを既に使って調の境目をさらに潰していたためか自然に聴こえる。

*6:実は中央定位に同じフレーズを二度繰り返しているチュクチュクシンセがいるが、途中から入ってくる上に聴きとりにくいので頼りにならない。

*7:リフの最後は1+3×5になっている。

*8:ここにも「固まる~」と同様、素直に追従してくれないクラビネットがいる。

ば!いいのか

 

あらゆるものを破壊し飛び越える大混乱ミュージック、長谷川白紙『魔法学校』に勇気と諦めをもらう。自分も破壊された。打ちのめされ、立ち止まっています。どうすれば!一歩!早寝早起きとダイヤモンドプッシュと鼓膜磨きとキーボード叩きのその先に!

 

魔法学校待機、Songwhipサ終、色々サブスク解禁

 

DOMMUNE長谷川白紙『魔法学校』特集プログラムを観た(途中から)。リリースに先駆けて収録曲を全部聴いていき、その都度有識者四人の言葉が作品の咀嚼を助けてくれるというありがたい放送。なんとミニライブまで。魔改造された曲たちを軽やかな足取りで乗りこなす、ハンドマイク+フード姿の長谷川白紙本人が見られて大満足。カッコよかったなあ。そして客との距離が近くてびっくりした。やっぱり「外」の楽しさを知ってしまったのか。私も早く「外」に出たい。いやはや、『魔法学校』は物凄いアルバムで、長谷川白紙は物凄いアーティストだと再確認した。日を跨いだら最速で魔法学校の門をくぐり、再々確認しよう。また「外」の話に戻るけど、学校コンセプトでアルバムの最後が合唱曲を想起させる点は、先月出たいよわ『映画、陽だまり、卒業式』と共通している。いよわと長谷川白紙は音楽性も近いので、なんか引き延ばして考えられそう(やや短絡的ではある)。

 

ここで、上記作品へのハイパーリンクをSongwhipで貼ろうとしたが、何やらサイトが応答しない。お気に入り登録しているURLにアクセスしてもロゴが表示されるだけ。というのも、Songwhipは7月22日をもってサービス終了していたらしい。個人開発なので少々予測できた結果ではあったものの、残念。当ブログでは頻繁に使わせてもらってました。ありがとうございました…。

 

songwhip.com

 

リンクは無効になるということなので、気が向いたら過去記事を編集しておく。気が向いたら…。

 

ここでまたデカいニュースが飛んできた。先日話題になったBLANKEY JET CITYのサブスク解禁だが、ROSSO、LOSALIOS、THE GOLDEN WET FINGERSの諸作品も同日(28日)に放たれるらしい。本当にありがたい。

 

むよーんむよーんぐどばたたたたららりり

 

  • 今日も今日とてDAWと格闘。新イヤホン・final E3000が良すぎて長時間爆音で作業してしまって、よくない。曲を一ミリもいじってないのに良い感じに聴こえてくるのも、よくない。でも外さない。俺はこいつと旅に出るでやんす。

 

  • ハイパーリンクの色が記事とサイドバーで違っていたことに今更気づいたのでちゃんと統一しておいた。都合のいい完璧主義癖に腹が立つ。

 

  • Tzadikレコードの、日本発アングラ音楽をまとめたNew Japanというシリーズを制覇したい。ポップ成分に飽きてきたので前衛を食らいたい気分。ということで最初はIkue Mori『Hex Kitchen』。コミカルで分裂気味な多国籍舞踊?呪術?面白い。確かにキッチンのドタバタ感が思い起こされるような。《Shiver》が一番好き。順に行くと次はRuins『Hyderomastgroningem』だが、これは聴いたので飛ばす。みっつめ、灰野敬二『Tenshi no Gijinka』。ノイズで有名な灰野敬二が、アンビエントを披露していて驚いた。偏にアンビエントと言っても激しいボーカルパフォーマンスがあるので、Brian Enoが提唱した原義からは遠く、静かにリラックスできるものでもない。とはいえ、やはり面白い。声以外にはポシャーンと鳴り響くシンバルかベルか、金属的なパーカッションがほとんど。わびさび。とても仏教的、日本的だと思う。あ~、Tzadikの安心感。レベルの高い合格点を越える作品をオールウェイズ出してくれる。John Zornサブスク解禁ありがとう。

 

  • 接続詞がマンネリ化している。作文のための本を借りてこよう。

 

暑いです。ファンクの聖霊(?)Sly & The Family Stoneを聴きます。

 

暑い。裸足でベランダに出たら火傷になりかけた。明日はもっと暑くなるらしい。アポロン神ゆるして。あ、神といえば。ある説(記事)によると、ファンク・ミュージックの神は三位一体らしい。父の姿はJames Brown、息子はGeorge Clinton、そして聖霊はSly Stone。今日は聖霊・Sly Stoneがリードボーカル兼ソングライターを務める有名なファンクバンド、Sly & The Family Stoneを初めて聴くことにした。まず『There's a Riot Goin' On』。邦題は「Riot」からそのまま引っ張ってきた『暴動』。Panteraよろしくシンプルイズベストな二字熟語。本作のサイケでどこか陰鬱なファンクサウンドは、Sly Stoneが病んで薬物依存に陥り、バンドメンバーとの間に軋轢が生まれた結果として辿り着いたものらしい。確かに一曲目《Luv n' Haight》から「気持ちいいから動きたくない」と歌っており完全に様子がおかしい。Sly StoneのStoneってそういうこと!?

 

youtu.be

 

…肝心な出音はそういった情報を把握せずとも、割と明快にカッコいい。ちょっと音質が悪いボーカルは陽気で不気味。そんな中、痒い所(高音域)に手が届くワウギターのうねり。ブラス。ピアノ。ドラムも良い。私が何より惹かれたのはLarry Grahamのベース。生っぽくて良い感じに引っかかる音色からノリまで最高すぎる!(若干チューニングが低く聴こえるけど。)流石スラップの生みの親。

 

最初から最後までずっとほの暗い空気感を保ち続ける。《Family Affair》でもメロウな曲調とシリアスな歌詞のコントラストが映え、表題曲はなんと空白、《You Caught Me Smilin'》も引き攣っていて怖い。《Spaced Cowboy》ではリズムボックスを土台に据えた粒立ちの良い演奏を背にヨーデルを歌い出し、最後は《Thank You for Talkin' to Me Africa》、スローでねっとりグルーヴィなジャムセッションで締め。ここでもモタったベースが病み付きになった。

 

なるほど。問題作どうのこうのという情報から想像していたよりも全然聴きやすくて真っ直ぐだった。でもこれは聖霊の調子が悪いときの作品だ。ということで、流れで前作『Stand!』も聴いた。流れで、というなら本来こちらを先に聴くべきだったのかもしれない。やはり雰囲気が全然違う。再生ボタンを押して即スネアがドカーン、心地よい柔らかさ、ベースの存在感が薄く、M3始まりのメロディ、そんでサブドミナント。全然違う。ソウルフルでロックでアツくて快活。ファジーなギターだったりメロが強かったり、ダイナミクスが幅広かったり。

 

youtu.be

 

全体を通して《I Want to Take You Higher》とジャム感が楽しい《Sex Machine》(JBの有名曲とは無関係らしい)が好きだった。総合的にはこのアルバムの方がクオリティが高いと思う。でも好きなのは『There's a Riot Goin' On』かな。よりファンキーだし、健全に明るいよりも病んでいる方が個人的に親しみやすいからかもしれない。

 

 

 

あっ、Marvin Gaye『What's Going On』の方もチェックしました。

 

虚無ドラゴンは今日も元気!

 

布団に入り消灯した後もスマホをポチポチしていたら目が覚めてしまい、3時くらいまで不毛な時間を過ごすことになった。そして8時に起床。先日購入した新入りイヤンホホE3000を引き続き使って音楽を聴く。そういえば昨日試してなかった「スウィングフィット」という機能があった。イヤーピースをくねくね動かせるらしく、角度を色々調整していたらやがて耳にピッタリハマった。全然違う!より広いレンジで聴けるようになった。ボヤけていた低音も前に出てきた(どちらにしろ弱めではあるが)。そして、丸一日ほど装着し続けてもまったく耳が痛くならなかった。スゲ!E3000さん、今後ともよろしくお願いします!!!聴きすぎて逆に耳を悪くしないように気を付けなければいけないね!!!

 

むおーぬ

 

今日聴いた音楽は

 

  • Denzel Curry『King of the Mischievous South Vol. 2』(新譜)
  • De Schuurman『Bubbling Forever』(新譜)
  • VIDEOTAPEMUSIC『Revisit』(新譜)
  • Dexter Gordon『Our Man in Paris』(ドラムのKenny Clarke目当て)
  • The Garden『Kiss My Super Bowl Ring』(気分)

 

でした。

 

本を二冊読みました(合計360ページ強)。

 

虚無ドラゴンは帰りま

 

せん。