音楽を食べていくよ!

音楽以外も食べていくよ。

SATORU=ガノンドロフ【今日の吸収 #251】

おはようございます。

  • The Last Dinner Party - Caesar on a TV Screen (2024)
    UK出身の新星らしい フルアルバムを前にして音楽性が完成されている とてもカッコいい
  • Panzerchrist - All Witches Shall Burn (2024)
    デンマークブラックメタル 特に目立ったところはない
  • Pile - Hot Air Balloon (2024)
    スラッカーやアンビエント要素が強い弱抽象ロック
  • SATORU - 薬物依存症 (2024)
    全然悪くない ピッチが暴れるオートチューンも味と捉えられなくはないけど
  • 螟上?邨ゅo繧 - 人を謳う人 弐 (2024)
    特にハーモニー面で奇の衒いが前に出すぎているノイズ・ボカロック ボカロなのに調声が雑
  • Squarepusher - d'Demonstrator (2010)
    覆面グループShobaleader Oneとしての作品だがあまりにも薄っぺらい
  • Jinmenusagi - DONG JING REN (2023)
    日本を背負うオタク・ドリル 流石の安定感がある Kraftykid日本語入れてんの嬉しい
  • ヨルシカ - 幻燈 (2023)
    ロックチューンが比較的少ない 《月に吠える》の平行aug連発はビックリした

早起き成功。寒いし暖かいです。最近は起きてすぐ牛乳をレンジで温めて午後ティーをちびっと入れて飲むことを日課にしています。これ最強です。

本日も新譜探しの旅に出ました。

The Last Dinner Partyとかいうバンドがヤバかった。グラム・ロック、ブリット・ポップ、バロック・ポップなどなど、色々混ぜた上にロイヤルな空気を被せたようなサウンドになっています。2021年結成ですが、既に洗練された完成度です。

私自身グラム・ロックもアート・ロックも全然分からなくて、以下の紹介記事で引き合いに出されていたKate BushSiouxsie SiouxDavid Bowieのどれも深くは通ってこなかったんですけど…次の目的地はそこらへんにしようかな。

来月2日に待望のフルアルバムがリリースされるということで期待が高まっているらしいです。忘れずにチェックしておきます。

 

そして案外悪くなかった(←ここ重要)のがSATORU。彼はラッパーとしてよりも格闘家としての活躍が目立っているようですが、私はラッパー側から知りました。半年ほど前、1年振りくらいにMCバトル動画を覗いてみたら「弾くポップコーン」とかいう謎フレーズが流行していたので、元ネタを辿ったらそこに彼が居ました。見た目はギラギラでイカツいけどフリースタイルはgdgdという個性が、「メリケン付けてデンプシーロール」で有名なベルが逮捕されて空いた噛ませ枠を埋めるのにピッタリだったんでしょう。最初はイロモノ扱いされていましたが、着実にスキルが上がっているというのもベルと共通していて面白いところではあります。

他にはポッドキャスト・奇奇怪怪明解事典(現・奇奇怪怪)の「脊髄反射王」という瞬発的な面白さを競う企画(147回)にて《常人には理解不能なあいさつ集》という動画が取り上げられていて「意外にユーモアがある人なんだな」と思ったくらいで、事前に得ていた彼の情報はそれくらいです。

今作『薬物依存症』はタイトルの通り、自身の薬物依存や塞ぎ込んだ境遇についての曲が並んだ内省的でパーソナルなアルバムになっています。バキバキflexタイプのラッパーだと思っていたので、本音が表れたリリックの数々には驚かされました。

特に《Rain Night》の悲観的なフックは凄い。〈奴等もどうせ/死んだ方が楽だって/語りかけるように今日も夜空が綺麗〉〈出来ればいっそ無くなりてえ/俺にはそんな勇気もねえ〉こんなこと言うんだ。

彼のラップスタイルの魅力の一つは、間を大きく取ったスリリングな重量級フロウスマブラで言ったらガノンドロフです。《Flash Back》ではその個性が存分に発揮されているラインがあります。

〈ちぇ、 他の 連/絡 かよいい加減にしろ〉

公式の表記でちゃんと改行してます。リズムもそこで区切れています。はえ

バース終わり〈墓場まで辞めれず辛い晩〉の後ももう1~2パッセージ入れられそうですが「晩」をめっちゃ伸ばすという選択。大胆すぎて面白い。とはいってもフックは言葉の密度が高かったり、〈後悔してる昨日〉からは脚韻も合わせつつ軽快にリズムを反復したり、一辺倒にならない具合で緩急をつけています。

あと、どうでもいいけどバース2の前半がANARCHYに似てる。

個人的には、オートチューンが持ち味の迫力を弱めている気がします。あと無難すぎるビート。そんなプロダクションとかなりの粗削りさ*1が欠点ですが、日本でも数少ないリアルなギャングスタの本音が込められた作品ということで聴く価値はあると思います。ちょっとSATORUのことが好きになりました。

 

今日はここいらで、おやすみなさい。

*1:同時に長所にも捉えられる