音楽を食べていくよ!

音楽以外も食べていくよ。

ano『猫猫吐吐』をちょっと【今日の吸収 #249】

おはようございます。

  • Squarepusher - Just a Souvenir (2008)
     特にこれといった印象は無いが、ちょっとBrufordみたいな曲があったな
  • cero - e o (2023)
     やっと聴いたが、《Fdf》以外よく分からなかった
  • Steely Dan - Aja (1977)
     思ったより聴きやすくて面白かった やっぱりキャッチーなメロディは大事
  • 変態紳士クラブ - ZURUMUKE (2021)
     以前WILYWNKAの《NO SLEEP TILL》をよく聴いていたが、これはひたすらにつまらない
  • ano - 猫猫吐吐 (2023)
     令和を生きる若者として聴いておかなければいけない
  • 電気グルーヴ - Dragon (1994)
     これほど辰年の正月に似合ったアルバムは無い
  • Y.M.O. - 浮気なぼくら (1983)
     ポップだが魂を売り切っていない
  • moreru - 呪詛告白初恋そして世界 (2023)
     名盤 こんなにも激しく叙情的に聴こえるカノン進行は初めてだ
  • Meshuggah - Immutable (2022)
     本当に何度聴いても飽きない 大音量で聴くとより自然かも

6時に起きました。偉い!東海オンエアの復帰宣言動画を観てとても安心した朝です。解散とかじゃなくて良かった。無理はしないでほしいけど、本当にありがとう。

今日も今日とて。

頑張って流行にしがみつこうシリーズ。今日は変態紳士クラブanoです。

変態紳士クラブは何の面白みもなかったので、書きません。強いて言えば一番ダサいと思った曲が一番再生されていたのが面白かったです。世間一般の感覚との乖離。

ano(以下あのちゃん)はつい先月1stフルアルバム『猫猫吐吐』をリリースしました。読み方は「ニャンニャンオェー」だそうです。チェンソーマンとのタイアップ曲《ちゅ、多様性。》もゲロの曲ですし、そこからゲロのモチーフを繋いだ感じなんでしょうか?私は生きてきて未だ一度も吐いたことが無い(喉まで来たことはある)のでゲロに対して共感できないのが少し残念です。

このアルバムは2枚組になっていて、サブスクではDISC 1「-猫猫-」DISC 2「-吐吐-」とそれぞれ分割した形で配信されています。前者はメジャー、後者はインディー時代のシングルを収録、たまに新曲が挟まる、といった構成。

本作の幕開けは《猫吐序曲》~《猫吐極楽音頭》。トライトーンを強調するギャンギャンのギターリフから始まったので、オルタナ・ロック/メタル方向に行ったのか」とつい思ってしまいました。しかしあのちゃんがラップスタイルで歌い出すメロディはベタに明るく、まあそうだよなと納得。ファンキーなBメロを駆け抜け、ライブで盛り上がりそうなキャッチーなサビに突入。メロディはほとんどマイナー・ペンタトニックで書かれています。「ラソミソラ(相対)」と何度も主音を強調するメロディはまさに音頭そのものです。

作曲には《ちゅ、多様性。》と同じく元相対性理論・真部脩一が関わっており、ペンタの音使いはまさに真部印!と言いたいところですが…「和」を派手に演出しすぎてどうも個性が削れているように思えます。おそらく(TAKU INOUEが)売れ線を意識して似たような曲調を避け大味に仕上げたのでしょう。やはり真部サウンドにはクリーントーンが欠かせないんですかね。2:44~のペンタ上昇は三味線の奏でにも似ていて面白いですが、ここまで歪みが強く存在感があるともはや相対性理論より人間椅子に近い。

まあとにかく…シネマティックな間奏やドリーム・ポップ/アンビエントのようなセクションは商業的な意図が透けすぎていて嫌いですが、全体的に明るく前向きなリードトラックからはやはり安心感を覚えました。

続いて、気になった他のトラック。

くるり《ばらの花》のピアノリフの如く左右で点滅するクリーンギターから、耳鳴り感を表現したシューゲイザーまで到達する《AIDA》。好み。

《コミュ賞センセーション》は《グッバイ宣言》で超有名なボカロP・Chinozoの提供。ボカロ曲の必殺技である丸サ進行やリリースカットピアノを惜しみなく使ってきます。ボカロP関連の提供曲は他にも《ンーィテンブセ》(ANCHOR/スズム)、《アパシー》(柊キライ)、《絶対小悪魔コーデ》(すりぃ)と3曲あります。この中では《絶対小悪魔コーデ》が最も良かったと思います。

《ンーィテンブセ》は折角のカッコいいロックサウンドが謎のミックス(ボーカルとベースがデカく、バッキングとシンバルの影が薄い)のおかげで迫力を失っているように感じました。よくわからないサイドチェインもかかっています(1:51~)。

アパシー》はまっすぐな歌い方がオケに負けている。

近いテイストの柊キライ提供楽曲を色々聴いてみたところ、《オールフール》《メビウス》《ヒト》《グレイン》《Vengeance》《ラッキー・ブルート》《ヴィータ》など、合成音声に負けない大袈裟な表現力のあるボーカルだと違和感がありませんでした。《ミュウ》《サクサクリ》《ファナティ》《リム》《ピストル》《コーラット》《オーバード》などの「キレイすぎる」ボーカルはちょっと微妙。これは単に相性の問題だと思います。ボカロと人間の互換性が比較的低い音楽ということで、逆説的に柊キライの強みが見えた気がします。

次は飛んでDisc 1のラスト。オケが遠かった《ンーィテンブセ》に対し、《鯨の骨》はシューゲイザーということもありギターが大きめにミックスされていました。J-POPとしては聴きにくいのかもしれませんが、これで良いと思います。同じシューゲイズ・ナンバーである《AIDA》と比べると、ギターの歪みの粒は少し粗めで、より大きく歌を覆い、テンポは遅くしっとりとしています。静と動のコントラストが最も顕著で、感傷的な歌詞も相まって素晴らしい一曲。私はこの曲が一番好きですね。あのちゃん作詞・作曲らしい。すげ。

アルバムから離れますが、ついでに一昨日出てたシングルも聴きました。

作詞・作曲あのちゃん。ぶりっ子スタイルの歌なので苦手ではありました。でも歌い出しから詩はいいなあ、そう思いながら聴いていたら…

 

〈そよ風に流れた ドビュッシー 蹴飛ばす〉〈月の光 蹴飛ばす〉

 

おい!!!!!!!!ドビュッシーはダメだって!!!!!!蹴ったら!!!!!!!!

 

でも流石に言葉通りな訳ないですよね。《Roll Over Beethoven》みたいなことなんでしょうか。それともサッカーボールにそういう名前をつけてるのかな。違うな。

あざとく舌足らずなハムボ~爽やかなハスキーボイスまで歌い分けられるボーカルスタイルはとても。オリジナル曲も良かったので、SSWとしてもどんどん活動してほしいです。このまま水曜日のカンパネラみたいに似非オリエンタルな方向性でいくのかな?というのは気になるところですが、疲れたのでこの辺にしておきます。

 

今日はここいらで、おやすみなさい。