音楽を食べていくよ!

音楽以外も食べていくよ。

ポストMeshuggahを聴く【今日の吸収 #190】

おはようございます。

  • 💿Poltergeist - Impressions of the Bizarre and the Uncanny (2023)
  • 💿Funkadelic - Maggot Brain (1971)
  • 💿Kyuss - ...And the Circus Leaves Town (1995) 👀

PoltergeistというバンドのEPを聴きました。これほどMeshuggah直系のDjentを聴いたのは初めてです。非常に濃い。

ギターサウンドに関して、②⑤はMeshuggahよりかなり攻撃的で粗く中高音域が飛び出ているビョンビョンしたモダンな音色、①③④は本家のニヒルなトーンを再現しているように思われます。

以下に各曲とそれぞれに感じる影響について列挙していきます。

①9th『The Abysmal Eye』風リフ+ブラストビートをかましつつも6thの雰囲気。ブレイク~ギターソロはメロディアス。4thっぽくブルータルに爆発したりする。チューニングはMeshuggahのLow-Fより低いLow-D#。

②9th『Kaleidoscope』風リフを4thのフィーリングで弾いている。8th『By The Ton』にも似ている。飛び道具的なフランジャーも。ギターソロは速弾きレガート奏法で無調、Fredrikスタイル。しかし後半のソロ(7th『Break Those…』っぽいバッキング)では一瞬Bbミクソリディアンを匂わせてからEbメジャートライアドの構成音を鳴らしているため完全無調という訳ではない。

③7th『Break Those…』『Marrow』、『By The Ton』辺りの雰囲気になだれ込む。ソロはベンドでのたうち回る3rd『Neurotica』や4th『Rational Gaze』。アウトロの美しいアンビエントパートは8th『Stifled』。

アンビエントからの流れ、そしてフレーズも8th『Nostrum』にクリソツ。デスボイスを多彩に歌い分けている。『Born In Dissonance』ぽい刻みもチラホラ。

⑤極端なダウンチューニングもさながら4th『Spasm』を土台にしている。短二度でパルスの如く鳴らすのは露骨に2nd『Future Breed Machine』の警報リフ。ブレイクダウンはモダンなDjentだが、この流れで行くと3rdも感じる。うねうねと『By The Ton』、後半は6th『obZen』のバースリフ。最後には5th『Mind's Mirrors』並にかなりギリギリな音が聴こえてくる。

というように…基本的にMeshuggah作品全体を網羅し、obZen以降の、特に最新二作『The Violent Sleep of Reason』『Immutable』を参考にしたソングライティングがみられます。

無調感、あくまでも4拍子の中で暴れるポリメトリックなギターリフ、それに追従するキックと4拍子に留まるスネア…といったドラミング。かなりMeshuggahに似ているのですが、それでも勿論Meshuggahとの相違点は存在します。

  • コンプ感の強いサウンド(特にドラム)
  • 表情があり手数も多い演奏
  • ゲートやフランジャーなど飛び道具的なエフェクト
  • ポリメトリックなフレーズの周期が短い
  • 固執した無調感はみられない

Meshuggahに限りなく寄せた音楽を聴くことで、Meshuggahのオリジナリティがハッキリと浮き彫りになるという現象。

Poltergeistを悪く言っているわけではありません。非常に現代的で聴きやすいということでもあります。加えて、上辺だけを真似たポップな量産Djentに対して、しっかりとエッセンスを吸収したうえで直近のMeshuggahに寄せているという点も興味深いと思います。一枚目のEPがこの完成度なら今後どのように個性が爆発するのか非常に気になります。Meshuggah入門としても推しておきたい一枚です。

 

- - - - - キ リ ト リ - - - - -

 

今日の「1日1ラ」は、90s・723位・Kyuss『...And the Circus Leaves Town』!これは5枚目みたいですが、前作は聴いています。

①重心を後ろに引いたドラムから若干加速、右から高音域が削れたモフモフのギター、左からベースが入る。音量バランスは丁度良く対等に鳴っている。ほぼ同じリフでぶっ通し。リラックスして歌っているボーカルの画が浮かぶ。でもちょっと埋もれ気味。②ギターがベースみたいになっている。音色のおかげでパワーコードの共振が凄い。レドレドレド~を繰り返すギターソロ。超ミニマル。③インスト。ミクソリディアン、という訳ではないちょっと調子の外れたリフ。ベースはギターと別々に動き、ユニゾンで合流する。④テンポダウン。陶酔感が増す。直線的なリフにドラムはタムをタッタタッタと叩き続けるだけ。ボーカルは左右に張り付いている。古典的なブルースと同じ良さがある。トレモロエフェクトで揺らぐクランチトーンのギター。ベースのフレーズが目立つ。ギターもメロディを弾き出すが、しまいにはディストーションを踏んで潰れたパワーコードをかき鳴らす。ここでボーカルが入る。小さいけどギター主体なのでこれで良い。ちょっとだけあるフリジアンのフレーズもカッコいい。⑥ビブラートが効いたメロディを寂しく奏でるギター、スライドベース、跳ねるドラム、さらなるギターも加わりすぐ雰囲気は楽しげに(マイナーだけど)。2:05~でシャッフルは途切れ、イーブンビートに戻ってしまう。早いスパンで緩急が切り替わって面白い。⑦ワウギターが印象的なナンバー。安定感がありつつグルーヴィなドラムが良い。⑧謎のテープ音声。しとやかなクリーンギターがリフを弾く。オールイン、一瞬にして跳ねる音の塊が完成する。特に目立ったものはない。⑨表拍を強調したドラミングとシンプルなコードストローク。ゆったりで直線的ないままでの曲に比べ、単音・パワーコードではなくちゃんとしたコードを弾いている点と速いハーモニックリズムのおかげでポップかつ安っぽい雰囲気になっている。⑩Fsus2のぼやっとした響きが良い。ラテンっぽいリズム。軽やかなクリーンからいきなりヘヴィなパワーコードで埋め尽くされる、という流れにはオルタナメタルを感じる。ちゃんとトライトーンなので。⑪冒頭から激しく叩かれるドラム。ダブルトレシーロを軸に展開していく。C,G,Bbを使った最初のパートに対して次のパートではC,A,Ebを鳴らしている。世界がマイナーからディミニッシュに移行しより暗くなった。一旦落ち着く。メトロノームの如く均等に鳴らされるベースを無視しギターが暴発。先ほどと同様ディミニッシュワールドだが、リズムはイーブンからシャッフルに変化している。また落ち着く。今度はボーカルに高速トレモロがかかっており左右をふよふよする。予測とは違うタイミングでドラムが入る。リフはオクターブ移動だけど至極単純なものになり、ボーカルのメロディが目立つように。と、ここでイーブンのディミニッシュが再び登場。強さと弱さ両方を感じるギターソロの掛け合いの中、フェードアウト。隠しトラックのために、待つ。3分経って変な歌が流れてきた。すぐ終わった。これはリスナーをからかったジャブだろう。さあ次だ!…5分経ってもなんもない。10分!まだか~。15分経ってやっとだ。スペーシーなサウンドでしっとり歌い終わる。うん。

総合:モフモフストーナーロック。低音の壁で酔わせるというよりもアンサンブルの技量で酔わせにきている。正直あまり良さがわからなかった。ボーカルが小さく感じたりしたので、もうちょっと大音量で聴くべきだったか…と反省している。

お気に入り:②⑤⑩

今日はここいらで、おやすみなさい。