音楽を食べていくよ!

音楽以外も食べていくよ。

宗教と科学のナワバリを知る【今日の吸収 #228】

おはようございます。

  • 💿Funkadelic - Free Your Mind and Your Ass Will Follow (1970)
  • 💿King Crimson - Islands (1971)
  • 💿Hüsker Dü - Zen Arcade (1984)
  • 💿Alfa Mist - Variables (2023)
  • 💿Athletic Progression - Athletic Progression (2020)
  • 💿Maria João Pires, Augustin Dumay, Jian Wang - Piano Trios Nos. 1 & 2 (1996)
  • 💿Hail the Sun - Wake (2014) 👀
  • 📖岡本亮輔 - 創造論者vs.無神論者 宗教と科学の百年戦争 (2023)

創造論者vs.無神論者』を読みました。サブタイトルには宗教と書いてありますが、本書で述べられるものは概ねキリスト教で、舞台は20世紀のアメリカです。

筆者はまずパロディ宗教の社会受容性についてウィットに富んだ文体で語り、半ば逆説的に伝統宗教へ疑問を投げかけます。続いて綴られるのは教育の場を巡った進化論vs創造論バトルと、9.11を境目に猛進し始めたラディカルな反神論の盛衰。まだはっきりと思想を持たない「穏健な信仰者」を奪い合ったと思いきや、神もろとも否定する勢力が台頭し、原理的な問いを繰り返す果てに結局は「穏健な信仰者」に丸め込まれる…といった流れ。

全部の章が面白い!なにせ登場する人物は130以上、テンポが非常に良く情報もぎっしり詰まっています。空飛ぶスパゲッティ・モンスター教は存在こそ知っていたものの単なるネット民のナンセンスな悪ふざけだと思っていました。発祥がID論に対する大袈裟な皮肉とアンチテーゼだということを理解し、その意味不明さに合点がいきました。また、「ミーム」概念を持ち出したのは新無神論の中心人物・ドーキンスだというのも驚きでした。ドーキンスの主張は極端ではあるものの面白く、最後の「信仰の無い宗教」の話は日本に住む我々からしたら身近なためとても興味深かったです。「穏健な信仰」との相違点も気になるところです。筆者によるまた別の本『宗教と日本人』で詳しく説明しているということなので、読んでみようかな。

MeshuggahのTomasがインスピレーションを受けたと言っていた『神は偉大ではない』の著者であるヒッチンズも取り上げられていて、点と点が線で繋がった感じがありました。歌詞の反神論的世界観をより広い視野で捉えられるようにもなったと思います。ほんとうは『神は偉大ではない』も読みたいけど未邦訳なのが痛いです。

筆者の主張と著名人の主張の境目が時たまよく分からなくなること以外は良かったと思います。特に無神論者・不可知論者の人におすすめの一冊です。

 

- - - - - キ リ ト リ - - - - -

 

今日の「1日1ラ」は、10s・521位・Hail the Sun『Wake』!怖いけど可愛いジャケットですね。こういうTシャツ欲しい。

①まずはアルペジオから。長調の中で小粒でもスパイシーなm3がカッコいい。とても聴きやすいまっすぐな高音ボーカル。全楽器が力強く躍動するハードコア?まだ定かではないが。スティックで素早くビートを刻みシームレスで次の曲へ。

プログレッシブな変拍子を駆使しながらもキャッチーな泣きメロを入れてくる。一応ハードコアなのか。滑らかな波を描くアルペジオが綺麗。

③12/8拍子が基準だが連符で遅くなったりする。左右のギターがくどく感じてきた。中盤からのドラマチックなハーモニーと変拍子がカッコいい。

④歌始まりなこともありポップさが目立つ。1:16~ここ好きポイント。ハードなサウンドだがメジャーコードでしっかり明るくなるのが良い。後半はちょっとクサい。

⑤サビの後の清涼感あるM7がとても気持ちいい。1:44~急にクラシカルなアルペジオ。非常にクサいのでこの類のフレージングはやはり諸刃の剣だ。

⑥タイトなタッピングからの高速タムドコドコで熱気を上げる。来るか来るか!と待ち構えていたところでスッとスピードダウン。え~。ここはそのまま突っ走って欲しかった。とはいえ面白い。3:30~別のボーカルが唐突にシャウト。Dビートっぽい感じで古典的ハードコアな盛り上がりを見せる。

⑦ポップなバラード。プログレ要素、ハードコア要素無しとなるとボーカルの歌唱力くらいしか面白味が無い。

⑧冒頭から3拍のポリメーターをかましマスロック的なフレーズが次々と炸裂する。忙しい忙しい。1:21~ベース良い音!メトリックモジュレーションを通して自然にテンポチェンジするところ良い。アウトロのコーラスは蛇足な気がする。

⑨4度で重ねた東洋風のフレーズがシュール。1:38~情緒不安定ゾーン。緩急が凄すぎて面白い。2:18~ZAZEN BOYSみたいでカッコいい。

⑩なかなか凝ったハーモニー。ギター大活躍。前半は良かったが段々ダレてくる。

⑪ラテン風味アコギをフィーチャーしたバラード。反響する雨音が聴こえる。広い空間を感じる。

⑫イントロからリズム隊のフリースタイル的なキメが連発。カッコいい。その後はポップすぎてあまり。シャウトパートは好き。

総合:マスロック的アプローチ、プログレッシブな変拍子、12/8拍子のポリリズミックな特性を活かした拍の変調など、ハードコアを基調にした複雑なアンサンブルを抜けの良い高音ボーカルが取りまとめる。コードワークも明瞭でいわゆる「泣きメロ」も多いためかなりポップで聴きやすい。そのため前半は新鮮に聴けたが、後半ではかなりくどく感じた。個人的には苦手。

お気に入り:③⑥⑫

今日はここいらで、おやすみなさい。