音楽を食べていくよ!

音楽以外も食べていくよ。

音楽の本を四だ四【今日の吸収 #224】

おはようございます。

  • 💿Herbert von Karajan - Verklärte Nacht; Pelleas und Melisande (1998)
  • 💿長谷川白紙 - 夢の骨が襲いかかる! (2020)
  • 💿Bladee - Eversince (2016) 👀
  • 📖椎名亮輔 - 音楽を考える人のための基本文献34 (2017)

『音楽を考える人のための基本文献34』を読みました。テキトーに図書館の棚を眺めていて、「音楽を考える人のための」という字が目に入り、私も「音楽を考える人」ではあったので、この機会にと手に取ってみました。西洋音楽を大きく俯瞰したガイドブックというかブックガイドで、音楽初心者の私にとっては興味深い内容がたっぷり詰まっていました。

プラトン(禁則の思想)、アウグスティヌス(自由エネルギー原理に通ずる話)、ホフマン(具体的なベートーヴェンの分析)、ショパン(中身のない速弾き批判)、ハンスリック(テクストの優位性)、バルトーク(民謡の影響)、ジョン・ケージ(音の価値観)が特に面白かったです。ジョン・ケージ『サイレンス』は検索したら図書館にあったみたいなので今度読んでみたいな~。

読みづらかったところもあり、中世はフランクとヴィトリ、近代・現代はジャン・パウルブーレーズがよく分からなかったです。

とにかく、ためになりました。今後クラシックを聴く頻度が増えそうです。

 

- - - - - キ リ ト リ - - - - -

 

今日の「1日1ラ」は、00s・379位・Bladee『Eversince』

①オートチューンゴリゴリのエモラップ。個人的に苦手なジャンルではあるがちゃんと聴こうと思う。冬を歌うリリックに合った冷えたシンセの音色が心地よい。メロディはファの音が多く不安定でヨレた感じが出ている。「I'm a stoner」らしい。

②コカインもやっていた。マンブル気味でダウナーな発声が良い。やはりメロディが雑で苦手。フィーチャリングの存在感もそこまで。

③ピコピコ感が強くアトモスフェリックな音像も良い。喉を切るっていう文がまた出てきた。たぶん精神的痛みを表現しているんだと思う。

④氷の洞窟のようなビートはとても雰囲気があって好み。笛だけ音を外しているのが気になるが、自分を「行方不明者」と喩える内省的で鬱々としたリリックには合っているともいえる。

⑤再び寒さを呼ぶビート。自分を『ロミオとジュリエット』のロミオに喩えて叶えようにも叶えられない恋仲を歌っている。良いリリック。

⑥トラップ要素は消えてしっとりとした曲調に。ベースが良い。「X'd out」の意味が分からないが。

⑦神秘的なクワイアパッドが空気を浄化し、Bladeeは「still sick」と繰り返す。ネットラップっぽい病んだ雰囲気。

⑧今までの曲のまとめみたいなフック。ここでも冷たいベルのようなシンセが感傷的に鳴り響く。

厨二病じみたリリック。フィーチャリングのEcco2kが「Issey Miyake」「CDG」と日本のブランド名をラップしている。

⑩怖い。吸血鬼?

リストカットで手首から流れる血を涙に喩えている。私は自傷行為に至るまで追い込まれたことは無いので正直そこまで共感できない。

⑫寂しくも力強いギターをフィーチャーしたバラード。「Kisses from the raindrops tell me "Wait again, one last time"」。人の体温を感じられず孤独を感じている最中、肌を打つ冷たい雨粒が生きる喜びを思い出させてくれた。そんなロマンチックな情景がぱっと浮かんでくるパッセージ。凄い。

総合:メンヘラエモラップ。サウンドとリリックが一体となり凍えて病んだ内省を演出している。全編オートチューンでビートアプローチ、メロディ共に単調だがその表情の無さがさらに世界観を補強しているように思える。魅力的。

お気に入り:④⑤⑫

今日はここいらで、おやすみなさい。