音楽を食べていくよ!

音楽以外も食べていくよ。

300ページ疲れる~【今日の吸収 #188】

おはようございます。

  • 💿James Brown - In the Jungle Groove (1986)
  • 💿Sorrow Come Pass Me Around (1975)
  • 💿Overkill - The Years of Decay (1989) 👀
  • 📖後藤 護 - 黒人音楽史-奇想の宇宙 (2022) 👀

図書館で『黒人音楽史』を読んだのですが、かなり面白かったです。夥しい数の引用と共にまくし立てられるこの感じ、とても好きです。ローマ劫掠により生まれた西洋文化圏の「マニエリスム」に対する、あらゆる事柄を綜合するアメリカ黒人文化圏の「アフロ・マニエリスム」が一つの軸となり評論が進んでいきます。

とはいってもこの評論、難しい…。先ほど言ったように引用の数がエゲツなく、よくわからないルビ振りも多い(「脱糞」に「ファンク」とルビが振られてたのは面白かった)。本当に理解できなかったところもチラホラありました。

黒人霊歌(ニグロ・スピリチュアル)の韜晦、ブルースの土着的なアニミズムAlbert Aylerの無邪気に泥を塗りたくる音楽が「アウトサーダーアート」を媒介して俵屋宗達風神雷神図屛風』に繋がったり、Sun Raやファイブパーセンターズの陰謀論チックなアナグラムに洗脳されたり、ホラーコアの胎内退行性に関連してつげ義春ねじ式』、ラッパー・ハハノシキュウの名前が出てきたり、ビュンビュン色んな情報が飛び交います。

そして驚いたのは最後。全体の結論をほっぽり、流れるままにWu-tang Clanを推して何の脈略も無く終わる。え、こんな締め方していいの!?って思っちゃいました。でも、意図を感じます。

本書の言葉を借りるならかなり「猥雑」。この本自体がアフロ・マニエリスムの体を成しているというオチ?です。形式ばった評論の体裁に収めないところも面白い。タイトルに「論」とか使ってないのもこのせいなんでしょう。難しかったとはいえとても収穫が多かったので、また読みたいですね。筆者も何度か書いていた通り従来とは異なるオルタナティブな論旨のようなので、他の黒人音楽の本も読んで比較してみたいです。

あと、BloodstockのMeshuggahライブ映像が8日後にフル配信されるようです!!!!Chaosphereリマスターの後ですね!ありがとうございます!!!

"Meshuggah Live at Bloodstock 2023: A Metal Spectacle Premiere" - YouTube

 

- - - - - キ リ ト リ - - - - -

 

今日の「1日1ラ」は、80s・372位・Overkill『The Years of Decay』!有名なスラッシュメタルバンドですが、意外と通ってきてませんでした。

①ドラムが前に出ていて、ギターが引っ込んだミックス。低音が不自然。中低音がデカい。溜めが強いイントロからスラッシーなリフが展開。ハイトーンボーカルもグワーと盛り上がる。フレーズ終わりが一瞬変拍子になってつまずくMetallica式のリズム。スネアの位置が表裏反転するところはまんま。後半はテンポを落としヘヴィに縦ノリ。デデデ!デデデ!とキメを通して再び加速。最後はピロピロ~ジャカジャカジャカ、デーン。…で終わればいいのに蛇足なリフが入る。②高速ダウンピッキングが見える。お手本のようなスラッシュナンバー。迫真のボーカル。1:21~若干テンポダウン、Dビートに変わる。そしてまた戻る。ギターソロは速弾きと歌う部分のメリハリがついていて良い。タイトな演奏が爽快。③ギターに対してドラムが若干後ろノリ。たまに11/8拍子が挟まり切迫した雰囲気を演出。サビのYou~がちょっとユルくて面白い。④ベースが目立っている。あれ?イーブンな刻みに開放弦からトライトーンの跳躍とか、結構『Blackened』に似ている。発表されたのはMetallicaが先で…。まあいいや。中盤のスケール上下パート→スラップベースでビックリする。なかなか柔軟な。3:19にノイズがある。⑤なんだこれ。ノイズでふやけたイントロ。ギターの高音が削れていて、遅い。今度はドゥームだ!かなりBlack Sabbath感が強い。ドラミングは最低限、間を使った演奏。半分経ったくらいで急にスラッシーな9拍子のリフが登場。バースは普通に4拍子。ギターソロを終えると何の前触れもなくドゥームに戻る。また速くなる。また遅くなる。どっちなんだい!正直このペースでキメも無しに切り替わると中途半端だと思う。⑥細かい16分の刻みがカッコいい。歌が入ってから拍子がよくわからない。もしやMeshuggah式?とも思ったが違った。不規則なキメからのギターソロで大暴れ。⑦一弦二弦を開放で残しながら幻想的に鳴るクリーンなアルペジオ。ここでバラード。トライトーンと短二度が恐ろしい。ドラムと歪んだギターがじわじわフェードインしてくる。バラードじゃなかったみたい。デケデンデンデン。シンプルで良い。9拍子のリフがまた出てくる。9拍子好きだな~。⑧アコギだ~。マイナーコードに9th。また9!?これはちゃんとバラードっぽい。ボーカルもしっとりと歌っている。二回し目後でスラッシュに切り替わる。ミュートがカッチリ決まっている。なんやかんやあってメジャーコード。からのまた新しいリフ。もうひと盛り上がり。ちょっと冗長。⑨エコーの残響成分だけ取り出した感じのぼやぼやした音で焦らし、ヘドバンがはかどる激しいリフへ。良い。一瞬アコギのアルペジオが変な感じに挟まる。一旦ブレイク。ベースラインがカッコいい。遅くなってからアッチェレランド。いろいろ凄いが、最後は冴えわたるシャウトをなんとブツ切り。

総合:やや変則的でプログレッシブなスラッシュメタルサウンドプロダクションがなんともいえない。ダイナミクスの変化が不自然。冗長気味。でも攻めていて面白いとは思う。

お気に入り:①②⑥⑨

今日はここいらで、おやすみなさい。