音楽を食べていくよ!

音楽以外も食べていくよ。

雪の日にエログロナンセンスを…

 

7時起床、早起き成功。バターロール

 

しばらくして窓を開けてみると雪がぱらぱら降っていた。積もったと言えるほどには積もった。ドカ雪が日常だった北海道から関東に離れた今、もはや1mにも満たない雪の層を見るだけでも嬉しい気分になる。

 

そんな中、平山夢明の短編集『あむんぜん』を読んだ。図書館の検索システムに何の考えも無く「オタク」と検索したら中々印象的な表紙絵が出てきたので、そのままジャケ買いならぬジャケ借りをしてみた次第。そのため平山夢明という作家についても全く知らなかった。

 

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ジャンルは不条理SFホラーといったところだろうか?エログロナンセンスな作風はこの前読んだ筒井康隆にも似ているが、より現代的で(年齢を考えると当然ではあるが)、ボケの密度が高い。そして何より本作の「エロ」はエロスのそれではなく下品のエロ。かつ中途半端に終わらず、必然性を感じるほど徹底したシモで埋め尽くされている。

 

表紙を開いて目次、最初に目に入った最初のタイトルが《GangBang The Chimpanzee》だった時点で既に身構えていたが、そんな並大抵の身構えでは型を崩されてしまうほど衝撃的な描写が続き、1作品目にしてかなりビビってしまった。

 

それでも、その後の4作品は世界観に慣れたせいか楽しく読めた。超能力少年の秘密を探る《あむんぜん》、悪事から足を「洗う」《千々和ミゲルと殺し屋バイブ》、色々ごっちゃになった《報恩捜査官夕鶴》、地下アイドルオタクのドタバタコメディ(?)《ヲタポリス》たぶん検索システムに引っかかったのはこれだろう。

 

基本的にどれもナンセンスで面白かったが、《ヲタポリス》が一番好きかも。前提として徹頭徹尾ふざけまくっているし、一つ一つのセリフがリアルで脳内のチェック柄が滑らかに動くわ動くわ。「オタク特有の早口」で情報を詰め込まれる体験もできる。兎にも角にも筆者のネジの飛びっぷりを存分に堪能できる作品だ。

 

最後に、そんな《ヲタポリス》の特段記憶に残った一文を紹介する。主人公とその父親が喧嘩している場面での「親父の顔がグミの一番人気のない色に変わった。」という喩え。笑うと同時に凄みも感じた。どうやったらこの発想に行きつくんだろう。飛距離がある。詩的な上に瞬発的な面白さもある。やはり下品さは魅力の一面にすぎないんだと改めて確信した。

 

圧倒的センスに憧れつつ、ねむる。

 

今日はここいらで、おやすみなさい。