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マジシャンズフリー・ジャズかき揚げレッド【今日の吸収 #246】

おはようございます。

後延ばし癖が絶賛発動中です。年間まとめ記事が、まだ書き上がっていません!明日ささっとかき揚げます。かき揚

さて、今日の「1日1ラ」は、60s・470位・Frank Wright『Your Prayer』

①「デーデーデーデープァ~~↑」開幕からねっとりとしたブラスたちが怪しい煙を巻き上げ上昇する。どうやらフリー・ジャズのようだ。ベースは下でもごもごと蠢き、サックスは高速で痙攣し出す。ドラムは拍子感覚を狂わせる叩き方をしているので、たちまち迷子になってしまった。敷かれたレールなどない完全即興。全体的にメロディアスさは少なく、プリミティヴな感情そのものを表出している。同じフリー・ジャズでも今日聴いたOrnette Colemanのスタイルとはまた違う。のっそりとチェロらしき音が聴こえてきたがおそらくベースの弓弾きだろう。5:38~すんなり最初のモチーフに戻って来た。しっかり回収して終わりはしたがアクの後味が残った。

②始まってすぐサックスによりメロディが放たれるが、依然として拍子は掴めない。ブルース的な感じで行くのかな?と思ったが間もなく暴走。先ほどよりもけたたましいハイトーンの叫びを魅せる。ちょっとドナルドダックみたいなとこもあったり。なぜかベースは不在。たまに右からカラカラと小さい鈴の音が鳴る。意味が分からなくて面白い。5:15~サックスと共鳴するように遠くから「ア~ア~ア~」と声が聴こえる。民族的なバイブス。アウトロに向かってドラムが一度谷の底までボルテージを下げる。サックスは一句詠むような風情を醸しながら締めに入る…。「Train Stop」といったタイトルの妙。確かにシュッポッポ感はあった(鈴がそれ)。

③これまたキャッチーなイントロ。でもすぐにネジを飛ばす。もう読めた展開ではあるが笑ってしまった。ベースは復活しているがずっと千鳥足ウォーキングベースのまま。正直ここにきてもう引き出しが尽きたように聴こえる。5:03~サックスが退場しベースソロ?そもそもベースの音量がちっちゃいので何をしているのかイマイチ分からない。また鈴きた!電車がテーマだから鳴らしてたわけじゃないみたい。モチーフを再現し終わる。

④冒頭からメロディはない。短く細かい高音で何度も空気を突き上げる。さながら炎。ジャケットの色調を強く感じさせる。その後はこれまで通りのサックスソロがしばらく続く。2:37~プププとフェードイン。消えてはまた現れ、無秩序な音空間をさらに押し広げる。といっても結構メインを譲り合っていて、そこまでのカオスには到達しない。中盤ではドラムがかなり奥に引きベースソロらしきパートになるがそんなに目立たない。また鈴が出てきた。この鈴、ルーズなたどたどしさがあって好き。ドラムは完全に止み、少しの間ベースと鈴だけになる。呪術的な緊迫感がある。9:03~今度は鈴とベースが止みドラムが盛り返す。そしてすべてのブラスセクションが合流。それぞれ激しく飛沫を上げる。サイレンみたいな音を鳴らしたりパルスの束になったりする。最後はぬるっとフェードアウトしていく。

ほぼ『さくらさくら』じゃねーか!と感じてしまうイントロ部分。テンポ感や溜め感も日本のそれでかなり親近感を覚えた。ノイジーな唸りは健在でも、今までよりメロディアスではあると思う。サックスを模倣して馬みたいになっている演奏者の声に気を取られる。ここまで裏の声の主張が強いフリー・ジャズは初めて聴いたかもw楽しそうで良い。5:02~子供が泣いてるみたい。伸びやかで分かりやすいメロディラインはすぐに姿をくらます。6:46~とかやっぱり和を感じる。7:23~ここはチャルメラを思い出す旋律。8:04~今度はアラビアン。日本というよりアジアを意識してはいそうな雰囲気。長尺のベースソロにはそこまで面白味が無い。12:38~ブラス代わりに祈りのような声たちがじわじわ持ち上がる。かなりの狂気だ。鈴もさながら儀式的。『さくらさくら』に戻り波打ちながら終わる。

総合:本能の赴くまま、ジャケットの如き朱色にオーバーヒートし続けるフリー・ジャズ。まずまずの楽しさ。モチーフ以外の演奏はメロディアスさに欠け表現の引き出しも多くはないため、アルバムを通して聴くとやや一辺倒な印象を受ける。ソロが長く楽器の重なりが少ないのもちょっと微妙。ベースの影の薄さも勿体ないと思った。アジア風味の⑤が特に好き。

お気に入り:②⑤

今日はここいらで、おやすみなさい。