音楽を食べていくよ!

音楽以外も食べていくよ。

食わず嫌いしていたBABYMETALを聴いた【今日の吸収 #1】

「今日の吸収」では、その日に吸収した音楽に対しての所感をつらつらと綴っていきます(たまに音楽以外のものも吸収します)。私が音楽を腰を据えて聴くようになったのは二年前くらいからなので(音楽遍歴 参考)、初心者・ニワカ目線での純粋な感想となります。

BABYMETAL『BABYMETAL』(2014)

open.spotify.com

 

小六くらいの時遊んでいたPS Vita『太鼓の達人 Vバージョン』で聴いた『ギミチョコ!!』が私の初BABYMETALです。当時はメタルはおろか音楽全般をひたすら「消費」していたので、シンプルに良い音楽だとしか捉えていなかったと思います。その後幾度もテレビに出ている姿をみかけましたが、ある日音楽番組で『イジメ、ダメ、ゼッタイ』の皮相浅薄なそのタイトルや歌詞に辟易してしまい、それからというもの私の脳内ではBABYMETALに「ダサい」のレッテルが貼られ、何度話題になろうとも忌避し続けるという姿勢を取っていました。しかし最近になって何事に対しても真摯に向き合おうと思い立った私は、レッテルを貼って決めつけるといった思考停止から脱却すべく、実際に食べず嫌いしていたモノに触れていくようになりました。例えば興味のなかった麻雀のルールを覚えて友人と遊んでみたり、スポーツの世界大会を観てみたり、カーアクション漫画を読んでみたり…。おかげで色んな偏見がなくなり、視野が広がった気がします。この「レッテルはがし」は音楽でも効果てきめんで、新たな出会いや苦手だったジャンルの克服などをもたらしました。話が長くなりましたが、「レッテルはがし」の道中で久しぶりに出会ったのがこのBABYMETALというわけです。

さて、以上の前置きからも分かるように、私がこのアルバムを聴く前にBABYMETALに貼っていたレッテルは「薄っぺらい」「ダサい」です。それらの先入観を一旦消し去ってこのアルバムを聴きましたが、私の頭には形容しがたい感情が渦巻いています。

 

「キツい!けどそれを超えてカッコいい!」

 

アイドルに対しての苦手意識は未だ拭えずにいますが、サウンドのカッコよさがそれを上回りました。①『BABYMETAL DEATH』からメインボーカル?が入るまではアイドルの面影を全く感じられないほどガチのメタルサウンドが展開され、全体を通してメロデスっぽい雰囲気で面白かったです。ほんのり香るダサさが癖になりますが、ライブだとすごい盛り上がりそうです。

②『メギツネ』では歌謡+ピコリーモ+メタルといったかなりのミクスチャー具合。ブレイクダウンでは大胆に『さくら』のメロディを引用してその和風な世界観を確立しています。

③『ギミチョコ!!』、④『いいね!』では歌詞なども相まってポップ要素を前面に押し出してくるため、アイドルが苦手な私にとっては若干辛くなってきましたが、④の「高低差ありすぎて耳キーン」なりそうなブレイクダウンで思わず笑ってしまいました。

⑤『紅月-アカツキ-』は明確に『紅』をオマージュしたメロスピ曲で、伸びやかで透き通るSU-METALの歌声がフィットしていました。アイドルっぽいあざとさが少なめだったので聴きやすかったです。

ニューメタル色の強い⑥『ド・キ・ド・キ☆モーニング』、⑦『おねだり大作戦』も面白かったです。しかし、⑦の歌詞はアルバム中ダントツのキツさを誇ります。心臓が縮んでしまいました。

⑧『4の歌』は Metallica『Master Of Puppets』のリフを分かりやすく引用していましたね。今度はスラッシュメタルかと思っていたらレゲエも入ってきたのでもうよくわかりませんw。

⑥と関係ありそうな⑨『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』も中々歌詞がすごかったですが(あげぽよーなど平成の香り)、デスボイスとキラキラした歌詞とのアンマッチさがBABYMETAL独特の味だと理解しました。EDM風のグリッチ効きまくりブレイクダウンでは『きらきら星』のメロディを引用しています。

⑩『Catch Me If You Can』はモロ Slipknot『(sic)』のリフが登場し歓喜!しかも本家よりブルータルな音色。サビはどうなるのかな?と思ったらアーメンブレイクが鳴り始め、その上に童謡のような可愛らしいメロディが。ここに来てドラムンベースとは、読めない…。

⑪『悪夢の輪舞曲』はまさかのDjent!イントロから15/8拍子で超攻めてるのに、キャッチーな歌謡風の泣きメロまで欠かさない。とにかく隙がない。

⑫『ヘドバンギャー!!』は⑪にもあったゴシック感を強めつつスラッシュメタル風味も取り入れたヘドバンコールが楽しそうな曲。サビは童謡『赤い靴』のようで不思議と曲調にマッチしていました。「15(いちご)の夜」という謎の尾崎オマージュも。

そして最後の曲、私がBABYMETALを避けるキッカケになった⑬『イジメ、ダメ、ゼッタイ』が登場。クーッ!正直言わせてもらうと、この曲に関してはギリギリダサいが勝ってしまいました。クサいレベルで聴きやすいメロスピX JAPAN風で良いのですが個人的にやはり歌詞がネックです。地方自治体のテキトーな標語くらい薄い。転調もあざとい。この曲は結局克服できませんでした…。

しかし!今回の目的はBABYMETALの「レッテルはがし」。正真正銘ヘヴィなメタルサウンドを取り入れながらもアイドルらしいポップさ(メロディ、コールや合いの手)・幼さ(童謡の引用や独特な歌詞)を兼ね備え、さらに日本らしさまである唯一無二のサウンドを作り上げていたBABYMETAL。海外のメタラーからも人気があるのも頷けます。1stアルバムだけを聴いても、「薄っぺらい」「ダサい」というのは大きな間違いだったことが分かりました(ただ歌詞はあまり…)。個人的フェイバリットは②⑥⑪⑫です。ニワカメタラーの私でもここまで楽しめたのなら、ゴリゴリのメタラーは普通では気づかない細かいネタを楽しんでいたりしそうですね。かなり興味がわいたので、他のアルバムも今度聴きます。それではまた。