なるたけ遠くに逃避計画

THE ULTIMATE ESCAPE PLAN

Dos Monos - "Dos Atomos" Release Party ライブレポート(にも満たないもの)

 

2024年6月15日、日本のオルタナティヴ・ヒップホップ…に留まらずオルタナティヴな音楽シーンそのものを牽引する最強集団・Dos Monosの新譜発表に伴うリリースパーティーDos Atomos Release Party 〜Theater D vol.4~』を目撃しに東京・恵比寿LIQUIDROOMに赴いてきた。余韻が抜けきらない。小並感だが、凄かった。以下、この小並感を出来る限り解きほぐしていく。

 

ライブレポートの体裁はとっているものの、時間の前後関係に関する記憶が混濁しているため曲順は不正確だと思われる。留意いただきたい。

 

Me

 

 

恵比寿駅

「せっかく東京に行くんだから恵比寿駅周りを色々散歩した流れでそのままライブ会場に向かおう」といった当初の予定はすぐ無くなった。極度の不安症かつ方向音痴である私にとって、時間厳守な重大イベントの前に何か別のイベントを大小に拘わらず差し込む行為はストレスの種になる。今回の目的はライブだ。Dos Monosだ。余計なことはしないように。そういって恵比寿駅に着いたのは開場の30分前、16時半。恵比寿には初めて来た。まあ人が沢山いた。街並みの空気感から人波の色合いまで、普段見るものとは程遠い。そもそも年に数回しか東京に行かないのもあって、全然慣れない。

恵比寿LIQUIDROOM~2階ロビー

16:40、恵比寿LIQUIDROOMに到着。以前black midiを観に行ったShibuya O-EASTが街角にドカンと重厚な存在感を示していたのに対し、こちらの外観はスタイリッシュなオフィスのようで周りにも溶け込んでいた。遠くからではロゴも見えなかったので、本当にここでいいの?と若干戸惑ってしまった。近づくと今回の公演のポスターが貼りだされており、入り口の上に小さいロゴを発見したので、ようやく確信して階段を上った。

 

待機場所、2階ロビーはこんな感じ。流石に20分前は早すぎたのか、左手奥にある別のアーティストの受付に並ぶ人の方が多かった。右側の空間ではDos Monosの物販の準備が行われており、右奥にドデカいAtomosくん?が確認できる。おそらく1名限定のリスニングパーティーATOM ALONEで使われたものと同一個体。ふとスタッフのお姉さんがプニっと押して遊んでいたのを見て、もしかしてライブ中にこのAtomosくんバルーンが客席にトスされて大玉転がしみたいになるのでは!?…と思ったが、結局そんなことはなかった。

 

16:40 恵比寿LIQUIDROOM 2階ロビー

 

開場15分前になった辺りで『Dos Atomos』の音源がまるっと頭から流れ始める。楽しみウキウキWatching。昨日までのガラクタを処分処分。そして人も増え始めた。5分前くらいになるとロビーが大量の同志で埋め尽くされ、とても賑わっていた。年齢層は自分と同年代~中年まで、男女比は体感7:3くらい?カップルも結構いた。気になったのが服装で、意外とDos Monosのマーチを身に着けている人が少なかったことに驚いた。ライブハウスを出るまで、自分と同じDos Siki RemixのTシャツを着ている人は見当たらなかった。自身アーティストの単独ライブに行くのはblack midiに次いでこれが2回目だから服装の相場もよく分かんないけど、思えばblack midiの時もそんな感じだったかも。みんな自由な感じがして良かった。

 

開場時間が10分くらい遅れるというアナウンスがあり、先に物販だけ始まった。帰りに買うと混み混みでメンドクサイことになるだろうと思い、すぐ並んだ。限定数百枚販売だった『だんでぃどん』も売られていて驚いた(自分は既に持っている)。陣内良飛が手掛けた新ロゴ黒シャツを一枚買った。コンセプトについての投稿を読むと細胞テーマだそう。カッコよすぎるだろ!

ついでにAtomosくんも近くで。

 

 

Atomosくん

 

物販に並んでいる最中に入場が始まった。ラミネートがなんたらかんたらの人が最初で、次に整理番号A、B、Cの番号順。私は先行抽選が始まって1時間後に申し込んだ結果A293を獲得したので、前列に行けるタイミングを逃してはまずい!と内心焦りながら手早く取引を終え、間もなく「Aの295番までの方~」と聞こえたので流れるようにチケットと出来立ての運転免許証を見せ、階段を降りて行った。

開場~待機

そそくさと階段を降り、そそくさと現金600円を払いおねいさんから受け取ったドリンク交換の小っちゃい缶バッジみたいな何かをそそくさとカウンターへ持っていき、そそくさミネラルウォーターをそそくさボトルでゲット。ジンジャーエール、レモネード、カルピスとかあったけど、炭酸系を頼んでプラカップを受け取っていた人を見てここはおそらくペットボトルで出てくるであろう水を。片手が塞がると嫌だから。あと普通に炭酸苦手だし。

 

遂にステージに向かう。一番暗い場所キター!シンセがチュピチュピ言ってる変な客入れBGMキターー!ライブハウス特有の爽やかで鼻孔に残る独特の匂いキターーー!紫の照明キターーーー!さて、前列はどうだ。既に二列埋まっていた。でも293番でこれはラッキーだろう。リーダーの荘子itはステージ上手側に立っていることが多い(過去ライブ映像を参考)ということを考慮して右側に位置を取り、準備万端。水もちょっと飲んで、あとは待つのみ。

 

前列の様子

 

客入れBGMは、ラップスタアでTOKYO世界が引用して現在ホットなザ・フォーク・クルセダーズ《悲しくてやりきれない》、坂本龍一《Ballet Mecanique》、『Dos Atomos』とも近しいテーマのSun Ra《Nuclear War》が流れていた。あとは上で書いたピチュピチュノイズ、ブート音質なハードコアパンク、サイケみたいな曲も。知らなかったけど今思えばShazamすればよかった。

ゆっくり待った。

∈Y∋(18:00~19:30)

いざ、Dos Monos…の前に、∈Y∋こと山塚アイBOREDOMS)のDJセットが待ち構えている。スケジュールではDos Monosより20分長いが、楽しむ準備は十分出来ていた。そもそも彼自体がレジェンドであるというのと、最近長谷川白紙のライブで彼を観た友人の「民族音楽とテクノを混ぜたエクストリームなトランスでかなり衝撃を受けた(要約)」という新鮮な口コミもあって、かなり期待していた。

 

なんだ?

 

照明が落ちた。まずは水滴音のような心地よいシンセの音と共に、ステージに向かって左側の壁が光り出した。あ、DJセットはこっち向きなんだ。やがて全体の視線が左に集まり、しばらく幻想的に点滅する万華鏡のイメージとアンビエントサウンドが流れ、気持ちよくなってきたところで、暴走が始まった。初めの十数秒以降、私はスマホを握っていないので皆さんに見せられる画像は一切ないが、そもそもテクノをデカい音で聴く体験自体初めてだったのもあってか、とんでもなくヤバかった。

 

アフロ系の反復的でグルーヴィなリズムを目まぐるしいスピードでハードコア・テクノに詰め込んでいて、90分ずっとノンストップトランス赤べこ状態。ある時は拍感覚が溶け出すほどの歪みマシマシでカオティックなダイナミクスを演出する一方、陽気なメロディを挟んだり、クラップ音で手拍子を誘ったり、たまに分かりやすいソン・クラーベやジャージー・クラブのリズムを入れてたり、結構ポップに盛り上げてるところも多くて面白かった。長谷川白紙との親和性も頷ける。

 

場所的に∈Y∋本人のシルエットがほとんど見えなかったのは残念だが、途中で腕をゆっくり頭の上で左右に振る動作をこちら側に仰いでいたのは確認できた。しかしその瞬間は勧めてきた乗り方とは程遠い凶悪なサウンドが鳴り響いていたので、会場にパラパラと広がり始めた手の動きが数秒で止んでいた。自分もよくわからなくて止めたw

 

非常に楽しかった。ただ、ハードな音楽を90分立ちっぱなし動きっぱなしで聴くのは、どれだけ楽しくても流石に疲れる。私は体力テスト最下位人間ながら全力で、徹頭徹尾文字通りノンストップで動き続けた。前半騒いでいた人が後半静かになったり、途中で俯いてスマホをいじくり出したりする人もいた。勿体ないな~と思いながらも、自分は全力で没入できたからヨシ。

 

Dos Monos(19:40~20:50)

登場

大大大迫力な∈Y∋のDJセットを食らい、今回の主役がDos Monosだったことを一瞬忘れてしまっていた。約10分の転換を終え、ギターアンプのノイズが微かに聴こえ始め、会場の照明が再びじわじわ落ちていく。うおおおおおおおお!!!ヤバイ!カメラ用意!第二期の「幕開け」を撮らずして何を撮る!

 

幕に投射されるおニューのロゴ

 

青い幕に新ロゴが投射され、拍手と歓声が堰を切って数秒間巻き起こる。これから起きることへの期待と緊張からすぐに静寂が生まれる。そこで「ladies and gentlemen」とアルバム収録曲《HI NO TORI》でお馴染みレニー・ハートの勇ましい声。ロゴは左右にちらつき、三人のMCの紹介コールが始まった。各々の名前が叫び終わるたびにこちらも声援を飛ばす。熱気が凄かった。没「a.k.a NGS」の溜めが長くてみんな笑っていた。

 

余談だが、楽曲に選手入場コールを取り入れ、それをライブでも活用するという演出はおそらくヨーロッパツアーで共演したblack midiの『Hellfire』ツアーから影響を受けて採用されたものだと思われる。*1

 

で、最後に「ドーーースモノ゛ーーース」。

 

市川仁也(D.A.N.)が静かに奏でる《HAROU》のベースリフ。まだ大きな歓声は上がらない。幕が緩やかに開き、チェレンコフ光を彷彿とさせる青い照明の下に集う最強音楽集団のその姿が…

 

青いなー

 

オーケストラヒットの音で照明が白に!

 

見えた!

 

あー!!!目の前にDos Monosがいる!!!本当にこの時まで堪え難きを堪えてきました!!!なんでTaitanは棒立ちしてるの!!没はどこ!!なんかドラムに大太鼓ついてる!!荘子itの生ラップだ!!!

 

色んな情報を噛み砕いているうちに荘子itのバースが終わると、7弦ドロップAの超ヘヴィなギターリフが炸裂。大井一彌のドラムにTaitanが立ちドラムで加わり実質ツインドラム状態になり、最強の行進曲だ。音圧ヤバすぎ!!!!!!!!!音源との近さの関係なのか、生楽器だからなのか、周りの声援も相まってなのか分からないが、∈Y∋のDJよりパワフルだった。

 

続いてトラップにビートチェンジし、ステージ上手側から没がダッシュで登場!サブベースの重低音が内臓を襲う!会場は大盛り上がり。ここで言ってしまうが、個人的に今回のライブのMVPは没だと思う。一番「生」のエネルギーを、荘子itの言葉を借りればむしろ「仮死」を感じた。モッシュ/ダイブ禁止の会場でありながらいつこっちに飛び込んできてもおかしくない狂気的なステージングだった。

 

没がダッシュで登場!!!

 

順番に、次は赤いライトに照らされてTaitanのバース。奇奇怪怪でファンキーなフロウは健在。佇まいもスタイリッシュでカッコいい。どうやら荘子it以外の二人は新ビジュアルに準拠した《MOUNTAIN D》のMVと同じ服装になってるっぽい。

 

画面左 Taitan

 

没は真ん中で何かのツマミをいじっていた。荘子itさん、後光が眩しいわ~

 

眩しit

 

アルバムと同じ流れで《MOUNTAIN D》。まずはTaitanのバースから始まるが、ライブならではの演出でなんとアカペラに!ラップの上手さがより際立っていた。間を空けながら焦らして会場を沸かせていて、二曲目でこれか…と少し怖気づいてしまった。そしてバンド側がラップに合流するタイミングもバッチリ。加速しつつ最強のフックへ…

 

穿つて~~~~~ん!!!

ガッ!

 

…ええと、残念ながらここからは皆さんに見せられる画像の類が一切ございません。モッシュにビビってスマホをポッケの奥にしまっちゃったから。この瞬間、後ろから突撃してきた誰かが私の脇腹に肘をガッ!て入れてきた(もちろん故意ではないだろう)。もっとモミクチャになったら携帯が飛んでっちゃいそうだと思って、身体と所持品の安全を優先してすぐ携帯をしまった。最終的に自分の観測範囲内でこれ以上の行動(モッシュ含む)は起こらなかったけど、まあ肉眼で楽しむという意味でもこの判断は良かったんじゃないかと思っている。*2

 

それにしても、室温が急に10℃くらい上がったのかと思ってしまうくらいの物凄い熱気があった。汗もかいた。過去のライブ映像を観ても、客がここまでモミクチャになっていた様子は見られなかった。この現象はDos Monosがヒップホップクルーからロックバンドに生まれ変わったことの何よりの証明だと思う。

 

閑話休題。イントロからみんなでシンガロング!!!サイコーすぎる。私の地声最高音域はF#4だったはずなのに、〈I fly again〉のところでG4が間違いなく出ていた。身体の限界を超える音楽の力、半端ない。松丸契のサックスもバチバチに決まっていた。

 

後半のギターパートでは没とTaitanが殴り合う感じになるMV再現もしてくれた。

 

もう一つ注意事項。これ以降セットリストの順番が正しくない可能性がある。あまりにもライブが楽しすぎたので、時間に関する記憶が吸収を待たずして空に飛んでいってしまったからだ。時間を忘れるとはよく言うが、本当に忘れてしまった。

 

続いて《COJO》。正直この曲はアルバム収録曲の中でも印象が薄い方だった。でもギターでこのメインリフを弾かれると重い重い。アウトロでもう一段階盛り上がっていて凄かった。

 

シームレスに始まった《王墓》では市川仁也のカッチョいいベースラインを聴くことが出来た。ピョンピョンしながら表拍に合いの手を入れまくる。〈ゲラは即刻Get Out〉のコールアンドレスポンスが楽しかった。曲が終わるとサックス松丸契、ドラムスTaitan&大井のドタバタなインプロビゼーション。楽し~。

 

ここでも没が主役な《BON》。イントロでBattles《Atlas》の「ヒジカタヒジカタ…」みたいなのがうっすら聴こえた気がするが、幻聴だろうか。後半のエモエモパートに行くときの没、身体を仰け反らせて高音を絞り出していてカッコよかった。アウトロのサブベースが重すぎてさっき飲んだ水が逆流しかけた。

 

《DATTO》ではリフのグランジっぽさに気づく。アウトロのRunゾーンでTaitanが走るジェスチャーをしていた。だんだん加速していきながら《UNDO》へ。こちらもかなり激しくて良かった。Taitanの「歌詞記載なし希望」となっていたリリックが聴きとれるかどうか楽しみにしていたら、謎の擬音を叫びながらスタンドマイクを前後左右に動かすだけで終わってしまった。最高。笑った。点滅がかなり強烈だった記憶。

 

カキカカキカ…。feat. black midiのイントロとアウトロを無印版の外側にくっつけた定番曲《Estrus》。かなり好きな曲だったので一番うまく歌詞被せに参加できたと思う。ヒップホップ寄りの曲ではあるが、これまでの流れでノリは完全にロックにチューニングされていたので〈ドーパミンドパドパ/ドン・ヴァン・フリート〉の大合唱がとんでもなかった。アウトロも最高。

 

荘子itがさながらZazen Boys向井秀徳のようにギターのネックを指揮棒代わりにバンドを操り、単発のキメを即興で合わせるといったパフォーマンスから始まった《HI NO TORI》。ライブならではの緊張感が味わえてとても良かった。無音のタイミングで明確に「レツゴー」と客席から聴こえてきて、つい笑ってしまった。自分もいつレツゴーしようかなとずっと思っていたので、ありがたかった。イントロにある「あ~~↑」という声ネタを客側が真似るという現象が起き、一体感の凄さを改めて感じた。超ヘヴィなリフと没のバースで鳥肌が立った。レニー・ハートの選手コールの部分では大の字で静止したTaitanの後ろから神々しく照明が当たっていて、本当にフェニックスだった。そのあとのブラストビートとアウトロのリフには気が狂うほどヘドバンさせられた。ドラム最高。ライブで化ける曲筆頭。

 

シームレスに繋げて《medieval》、あの軽やかなドラムが聴こえてきて察した。キターーーーーーーーーーーー!!!かなり思い入れが強い曲なので、ほんとに嬉しかった。Taitanバースで一番好きな場所が「まるで!ゾ!ビ!チ!ケ!」とスタッカート気味で歌われ、しかもフロアもピョンピョン飛び跳ねまくりで最高だった。この曲もサブベースが強くてチビりそうになった。

 

唐突にFranz K Endoの「MADドラえもん」が画面奥の小さいモニターに映し出され、歓声が上がる。どういう状況?困惑が混じった笑いと「出木杉~!」などの謎の声援が広がりつつも、特に何の言及もなく《ATOM》が始まる。もうどの曲もヘヴィだ。アウトロではFranz K Endo本人が登場し、客煽り。「このLIQUIDROOMは縦ノリなんだ」。まさしく。もはや横ノリより縦ノリだ。「西日が眩しいわ~~~~~~~~」とセルフ声ネタでボルテージを上げそのまま《KIDS》へ。個人的にアルバムで一番好きな曲。サックスも超良い。結局子どもたちと没が叫んでるアレは何て言ってるのか分かんなかった。各々のラップがタイトにハマって首が止まらん。「Vision Creation Newsun」!!!没がちゃんと元ネタみたいにその後も何回か「Newsun」って言ってた。

 

ここで近所のおじさんみたいな感じでふらっと大友良英が登場。鬼気迫るターンテーブル捌き、本当にカッコよかったし凄すぎて笑いが漏れてしまった。ヤバい。掌を真下にバンッ!!と押し付けてギュウウ~と捻じ込むあの技?はなんだか妖怪を封じ込めているみたいで大迫力だった。《QUE GI》、かなり近くで見れて眼福。ただ楽曲自体ずっとノイジーだったのでターンテーブルの音をハッキリと聴き取ることはできなかった。自分の耳がライブ慣れしていないだけかもしれないが。

 

《IN 20XX》のリフ、というかThelonius Monk《Brilliant Corners》のリフをギターで弾くとどうなるか。ヘヴィメタルだった。1stの曲が進化して帰ってきた!パワフルなバンドサウンドに乗りながらラ~ラララ~とみんな仲良く大合唱。よく考えると結構不気味なフレーズだ。リフを再構築して加速するアウトロの盛り上がりはかなりblack midi《953》を思い出した。

 

あっという間にアルバムの最終曲である《INU》に辿り着いた。ここで市川仁也と大井一彌は退場。松丸契の完璧で流麗なサックスソロに聴き惚れる。近くで見たかったけど代わりに耳を澄まして聴いた。あまりのジャンルレスさに一瞬「これ何のライブだ?」と思ってしまった。これはDos Monosのライブだ。ソロ終わりで滑らかにリフに繋げ、そのままバースが始まる。この曲だけ照明が白固定になり、盛り上がるというよりもフィナーレというかスタッフロールを観ている感覚というか…そんな感じ?メンバー各々自分のバースを蹴って一人ずつステージを去っていく。3MCそれぞれの個性を再確認。荘子itがコンテンポラリーダンスみたいなの踊ってて最後はぶっ倒れそうになりながら暴れ散らかしてたのが印象的。ほんとにカッコいい。

 

一瞬で曲が終わった。アルバム通りに行くなら最後に甲子園のサイレンが鳴るはずだったが、鳴らなかった。ということは、まだ終わりじゃないってことだな!まずは感謝の歓声と拍手!次にアンコールの手拍子を開始!1分ほどですぐ来てくれた。優しい。

MC~アンコール

荘子itが赤裸々に喋っていた。「死にたいと思うことはありませんか?(要約)」といった問いかけから始まり、自分もそういうときがある、音楽のライブは『仮死の祭典』(蓮見清彦より)に近いものでありたい、一緒に仮死に向かって楽しんでいこうと。なるほど。。『仮死の祭典』を読んだことはないけど、言いたいことは分かる気がする。気がする。〈生と死の狭間を痙攣する跳ねたハイハット〉。

 

アンコール曲は《劇場D》リミックス。ライブアレンジも加わって、原曲とは完全に別の曲と言っていいほど様変わりしていた。とにかくテンション爆上げで跳ねまくる。わあああああ全員最高!!!!!この曲についての記憶は特に漠然としている。というのも、やはり死にかけていたからだろう。いや、カッコよく締めようとしたけどわかんねー!「仮死」てこういうことですか!?まあいいか!

 

まとめ

改めて、凄かった。「凄かった」の内訳を書けるだけ書いた。まだ言葉に出来ていない部分も多いが、それらは音楽含む芸術にのみ表現し得るものだからこそ言葉に出来ないのかもしれない。高2で彼らに出会って以来、リリックやサンプリングネタの理知的センスに憧れ惹かれてきた(サウンド自体の魅力は前提として)。こうして生まれ変わったロックバンドとしての大爆発を目の当たりにしてようやく、彼らの洗練されたセンスはここまでの圧倒的な身体性に裏付けられたものなんだと腑に落ちた。

 

とにかく、今回のライブは間違いなく心に、人生に深く刻まれた。

 

つまり、何が言いたいのかというと…

 

ありがとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

個人情報写ってないよね?

*1:black midiステージに登場する際にボクシングナレーション(《Sugar/Tzu》イントロより)を流していた。

*2:とはいえDos Monos側は動画バンバン撮ってプロショットと混ぜてひとつの作品にしようと言っている