なるたけ遠くに逃避計画

THE ULTIMATE ESCAPE PLAN

アツいのはいいけど火傷は勘弁してね

 

  • Kuru『Backstage Hologram』
    洗練されたネット発次世代ヒップホップ。シンプルに聴き心地が良すぎる!デジコア~レイジを主軸に、Jerkのドラムパターンやアートコアのようなリリースカットピアノをフィーチャーしたアグレッシヴさと浮遊感を兼ね備えたビート。細かく節をつけながらも涼しげに畳みかけられるキレキレのフロウ。パンチインも呼吸感・スムーズな流れを崩さない程度に組み込まれている。リリックは稼ぎまくるぜ~!遊ぶぜ~!系統の軽快なflex、目立った面白味はないにせよ、彼曰く「I said this bar like twenty times, but I don't give a fuck」。日本文化への言及は「Me and bro like Madoka, Homura」「Way too soft, boy, you move like tofu」といったラインが印象に残った。トーナルの構成も丁寧なほうで、特に後半の展開が良い。⑨のエレクトロクラッシュを境に空気をガラッと変えたのち、xaviersobasedが参加した⑩から比較的穏やかな曲を連続で置き、〆には恍惚とした音響にゆったり包まれるシャッフルフィールのダウンテンポ・バラードをもってくる。うーんすごい。▶Kuruは四つのコレクティヴと関係を持っているらしく、なかでも重要度が高いのはアルバム内で何度もレペゼンしていた〈TooManyStrikers〉と、客演xaviersobasedとの繋がりから〈NOVAGANG〉か。後者は2021年時点で脱退しているらしいが、最近話題になっているnettspendも所属していたとのこと。要チェックだ。関連人物でいうとLucy Bedroque、リスペクトから何度もネームドロップされていたksuuviもチェック。

 

  • ST6 JodyBoof『Strike Club』
    〈TooManyStrikers〉繋がりの新譜を聴いてみた。Kuruとは打って変わってゴリゴリのギャングスタによるモノホンDMVドリル(=Free Car Music)。ジャケ写の元ネタはおそらく『ファイト・クラブ』と『スカーフェイス』。際限のないパンチインで常に連射されるオフビートなハードコア・ラップは、正直言って単調で聴き疲れしてしまうが、アウトローな荒々しさの表出としては100点ともいえる(DMVドリル全般がこんな感じなの?)。レイジの音割れ音響がぴったりハマっている一方でハーモニーは明るいものが多く、リリックとの間に独特の緊張感がある(エモ・ラップよりもセクシー・ドリル?)。気取らず自然に入り込んでいるブレイクビートの影響も面白い。

 

  • 冥丁『瑪瑙』
    フィーレコを主体に構築された前作から、本流であるHauntologicalなプランダーフォニックス路線に回帰。内訳は『古風』シリーズに依拠したリミックス6曲と完全新作1曲。注目すべきはむろん前者の変更点・アレンジだ。もともとビート感の強い②③⑥(『古風』)には若干のクライマックス主義的なアプローチが、アンビエント風味の強かった④⑦(『古風Ⅲ』)には拍節的なリズムセクションが加えられている。⑤《旧劇》は《忍》と《黒澤明》の二曲(『古風Ⅱ』)が素材になってはいるものの、実質的に新曲。映画の台詞らしきもの(『七人の侍』のナレーションが含まれる)が多層的にサンプリングされ、柔らかな和声を放つ楽器とともに複雑な質感的ハーモニーを生み出す。個人的にかなり痺れた一曲。また、遡って冒頭の新曲《覇王》も、6分弱かけてなだらかに景色が広がっていく豊かなダイナミズムを持っている。こうしてアルバム全体をみると、純アンビエント的な楽曲はなく、これまでに比べると若干クライマックス主義の方向に傾いている*1のは確かだろう。ここでインタビューをみてみよう。本作にはライヴ活動を通して得た「デジタルでラウドな要素」が反映されているとのこと。なるほど。上述した特徴はもちろん、『古風』シリーズに比べて長尺かつ曲数が少ない=一曲あたりの尺が長い構成もそれを実現する手段といえるか。さらには「自分では一度もアンビエントを作ろうと思ったことはない」、「日本ではロックバンドと一緒にブッキングされる方が多い」といった発言、新曲《覇王》がステージで「機能」したことなども、音楽性を知るうえで参考になる。

 

  • 味噌汁よそってたら手がアチアチになってこぼしたのかと思ったら、容器(プラスチック)の底の穴から全漏れドバドバでワロタ

 

  • MPHとSkeptaが来日中、いまUKベースミュージックがアツいらしい。

 

  • Neurosis『Times of Grace』
    低音の迫力がすごすぎて頭痛くなった。後日聴き直します。

 

*1:そうした意味で、冥丁はアンビエントではない。