昨日は2時まで本を読んでいた。結果、起きたら12時どころか14時だった。あ~!寝るのが遅れると起床時間はその倍以上遅れる。分かってるのに。
切り替えて、今日のヤバ音楽紹介に行こう。ブラジル・ミナス出身のピアニスト、Davi Fonsecaの来月リリース新譜『Viseira』から先行シングル。タイトルの「Apocalipse à Brasileira」は直訳で「ブラジルの黙示録」になるものの、そのイメージに反して暖かく陽気なサウンドが心地よい。メロディは覚えやすい。そして何より複雑でグルーヴィーなリズム。リズムを愛する者として見逃せない曲だった。
ギターのフレーズとバース部分のボーカルは7拍子単位で進行する。イントロからリズムの絡み合いは始まっていて、ウクレレ?の入るタイミングは曲が始まってから8拍あとでフレーズの単位も8拍になっている(その後すぐフレーズの境目が分からなくなるが)。そして次に入るシェイカーの類は7拍のグリッドに基づいている。55秒~ベースとキックが8拍単位で加わる(・・・◎・・・・)。本格的なポリメーターが始まる。ベースは基本的に楽曲の土台とされるが、今回はメインの7拍子に対してさらなる緊張を生み出す役割を担っている。
1:18のブレイクは [44444 5] と最後だけ一拍多いパターンの変拍子。対位法を用いたフレージングで広がりを見せながら4拍子でコーラス(サビ)に向かう。
1:27~コーラス前半
[44 33333333] + [44 33333333] + [4 3333]
複雑そうだが 8+8+4 に簡略化できる。すなわちここはすべて4拍子で乗ることができる。ただフレーズの切れ目は3グループ目だけズラしてある(太字の部分)。ミクソリディアンを基調としたハーモニーに混ざるb13がスパイシーで良い。
1:40~コーラス後半
[4444 333333] + [4444 33333] + [44 3333] + [4]
4と3の数が変化。3の数については6,5,4と減っていく形でかなり変則的になる。全部足すと 34+31+20+4 になるので簡略化できない。
1:53~バース2
[9+7] と [9+7+7+7…] が同時進行
前者(ベース、キック、ギター)は足すと16なのでシンプルな4拍子に還元される。後者(ピアノ)は最初だけ9拍でそのあと7拍を続けていく。つまりは3つ目の7拍フレーズで前者のリズムとズレ始める。「普通」の音楽に慣れていると主役は4拍子だと思うかもしれないが、この曲では後者になる。イントロの7拍フレーズがギターからピアノにバトンタッチして鳴り続けているので、これとボーカルを追っていれば自ずと視界が開けてくる。
2:40~コーラス前半2
[44 33333333] + [44 33333324] + [4 3333]
一回目とほぼ同じだが、2グループ目の最後がちょっとだけ違う。
3:06~コーラス後半2
[4444 333333] + [4444 333333] + [44 3333]
ここも、一回目は2グループ目の3が5個だったが、今回は6個に変わっている。そして最後は4で解決せず次のループに突入する。こういう細かい変化が面白い。
…
このように作り込まれた大きなリズム構造がありながらも、楽器陣は各々アクセントをズラしたり、モタつかせたり、連符を入れたりと自由に活き活き演奏している。頭でっかちで機械的なアウトプットに陥らず、ボーカルの声質からも全体的にポップで親しみやすいサウンドになっている。かなり凄くておもしれ~です。
2019年の1st『Piramba』も聴いた。ジャズ・フュージョン味もあってかーーーなーーーーーり良かった。MPBとか何やら、疎いけどミナスの音楽はヤバいらしい。来月の新譜は絶対にチェックしておこう。
こう。