おはようございます。
10時起床、早起き失敗。何も予定が無いとなればやはりこうなってしまう。
大和田俊之『アメリカ音楽史』を読み終えた。かなり面白かった。Kindle本なのに脚注のポップアップが無かったのが惜しいところだが、それを抜きにしても非常に読みやすかった。
そもそも私は一度もアメリカの音楽史というものを体系的に学んできていなかった。いわゆる「洋楽」を聴き始めてからは主にネットの情報をちびちび齧っていただけだ。本も読んでいないことはないが、「アメリカの音楽史」について広く書かれたものは一度も目にしてこなかった。
そんな中、Blueskyにて丁度良いツボを射るリコメンドが届いた。自分だけの独りよがりな世界に閉じこもっていてはいけないと、最近は密かに「他者が共有しているものを貪欲に吸収しよう」という小さな目標を掲げていたこともあって、すぐに本書を買うことにした。(ぱほいほいさん、ありがとう)
さて、それで内容。ミンストレル・ショウからカントリー、フォーク、ジャズ、ブルースを通りロックンロール、そしてロール抜きのロックに至る道のりが書かれている。
こう書くと普通だが、本書はその「普通」に異議を唱えまくっている。短絡的に歴史を独立した点の連続と捉えることなく、ステレオタイプで凝り固まった言説を冷静に客観視し、スポットライトの当たらない部分をしっかりと鑑みながら〈歴史〉を検証していく。
ジャンルが生まれその定義が形成される過程をこれまでの歴史的経緯、楽理的視点、地理、政治社会、モダニズム、そして商業の観点から整理する。何がホンモノのブルースでカントリーでジャズなのか。隠蔽されたオルタナティヴな〈歴史〉が理路整然と証明されていく様は読んでいてとても気持ちいい(?)。気持ちいいって書くとなんか変だな。でも気持ちよかった。
最初の章のタイトルこそありがちな「黒と白の弁証法」だが、最終的に本書は「アメリカ音楽を語る上では古来よりヒスパニック=ラテン音楽の影響を無視することはできず、図式も黒人/白人の単純な二項対立に収まることはない」という主張で締めくくられている。面白い。
細かい部分だが、「クロスオーバー」現象を論じる際ベースの演奏法にクローズアップしたり、カントリーやティン・パン・アレーの章で出てきた自動車関連の話が少し後になってモータウンでも出てきたり、「これは何章で論じる~」といちいち書いてくれたりだとか、軸というか色んな大きさの動線が丁寧に配置されていて、優しさを感じた。
良い本。
今日はここいらで、おやすみなさい。