音楽を食べていくよ!

音楽以外も食べていくよ。

サッパリデー【今日の吸収 #234】

おはようございます。

  • 💿The Dillinger Escape Plan - One of Us Is the Killer (2013)
  • 💿betcover!! - 馬 (2023)
  • 💿Giles Corey - Giles Corey (2011)

髪を切りました。ブログアイコンも一新しました。サッパリデーです。気分が良かったので、食わず嫌いしていたbetcover!!にも挑戦しました。一番新しい『馬』。聴き始めの「馬鹿野郎!」からの爆走サイケロックイントロでうわっ、と殴られ浮いた心地。とてつもなく色気があるアヴァンギャルド歌謡でした。一括りのジャンル名で表せないながらに統一感があるサウンドの根本には間違いなく日本の血が流れています。斬新で生々しい詩のセンスも抜群で、特に『フラメンコ』が好きです。あとはボーカルの音域の低さにかなり勇気を貰いました。

完成された濃密な世界観、圧倒的説得力。よくわかんないけどとりあえずカッコよかったです。過去作も聴いてみよかな。

 

- - - - - キ リ ト リ - - - - -

 

今日の「1日1ラ」は、00s・83位・Giles Corey 『Giles Corey』

①暗闇によく響くピアノがぽつんと一つ。童謡のようにシンプルな短調の旋律。最初の単語がアーティスト名・アルバムタイトルでもある「Giles Corey」。血生臭いらしい。自己紹介的な曲?だんだん様子がおかしくなっていきピアノが狂気のコーラスに吞み込まれてしまう。雰囲気が一変し、呪術的な鈴の音と力強い大太鼓がひたすら鳴り続ける。ウィスパーボイスも怖い。ピアノが帰ってきたと思いきやもはや先ほどの状態ではない。発狂しながら乱雑に鍵を叩いている。ヤバい。石で殺された人の話?

②今度はアコギとハミングがどんよりと広がる。長調だが明るく捉えられるものではない。「僕は孤独な幽霊」とか歌ってるし。半分を切った辺りで演奏に力が加わって盛り上がり始めるが、その力の由来はきっと悲嘆の類。祝福的な音風景が痛々しい。

③こちらもちゃんとメジャーコードで始まるが案の定暗い。孤独、パートナーが放った「あなたは特別じゃない」という言葉が胸に刺さったまま、唯一の拠り所だった本に埋もれて眠る(=死ぬ)。「本でいっぱいの墓」。

④オルガンとコーラスの暖かいアンビエントに包まれながらおじさんによる謎の朗読を聞かされる。内容は死者からのメッセージについての云々。エジソンの「霊界通信機」の話は無いのか。朗読が終わると新しいメロディがぼやっと始まり一節の歌も入る。イマイチ分からん。

⑤ボーカルが遠くにいる。アコギは淡々と無感情にアルペジオを弾き続け、自殺に関してかなりド直球に呟き半分で歌っている…ように思えたが、最終段落では「you」にフォーカスし、こちら側まで巻き込んでくる。メロディが消えて環境音だけになるところ怖い。

⑥急にデッドな音。素朴なアコギと数人の合唱隊。愛するパートナーがいながらも自分は相応しくないと考え、死さえ想う。中盤では明るいと言えるバンドサウンドが合流し、少しの間だが前向きに盛り上がる。再び静寂が訪れ、最後には「もし死んでも君の側にいる」と分かりやすく愛を表現する。ちょっと捻じれたラブソング。

⑦このまま明るくハッピーエンドに向かいはしなかった。短いハンドパンの音が冷ややかに反射する。「全身武装している」「動物みたいに」「何にでも噛みつく」、荒涼し切った心。サビはよくわからない。後半ではシャッフルリズムで匂わせてからワンツーファッキューと叫び出す。ズドンと隆起。謎の盛り上がり。情緒不安定すぎる。

⑧「もし僕が死んだら働いてた学校の庭に埋めといてくれ」。ストーリー性を感じるけど、どういうことだろう。

⑨古典的なブルースのような曲調を基盤に、後半ではなんかのメロディをサンプリングしている?モヤモヤする。そしてリードトラックにもあった一連がリフレインされる。苦しみに囚われている自分を歌う。最後は「僕は地上に葬られている」

調べてみたところ、今作で象徴的な「Giles Corey」は実際に存在した魔女裁判の犠牲者の名前からとられているらしい*1(アーティストの別名義はDan Barrett)。なるほど、そうなると①⑧辺りの歌詞も納得できる。とはいってもすべての曲がそのGiles Coreyの史実を歌っている訳ではなく、作品全体としてみるとDan Barrettのパーソナルな部分と重ね合わせた形で引用されているようだ。うーん。私自身詳しくGiles Coreyについて知っているわけではないが、タイトルもアーティスト名も揃えておきながらなんだか表面的で中途半端な取り上げ方だなあとは思う。

総合:憂鬱な世界で孤独感に苛まれる体験ができるスローコア/フォークの一枚。コンセプトアルバムのようで違う。雰囲気重視。ギリギリ冗長じゃないくらいの絶妙な範疇でダイナミクスをねっとり動かしている。歌詞は必読。

お気に入り:②⑥⑦

今日はここいらで、おやすみなさい。