音楽を食べていくよ!

音楽以外も食べていくよ。

さいたま国際芸術祭レポその①【今日の吸収 #226】

おはようございます。

  • 💿Charles Mingus - The Black Saint and the Sinner Lady (1963)
  • 💿Charles Mingus - Mingus Ah Um (1959)
  • 💿Botch - American Nervoso (1998) 👀

さいたま国際芸術祭に行ってきました。最終日にはJim O'Rourkeのライブも観ることができる(しかも追加料金無し!)と聞いたので、まんまと。開催場所である旧市民会館おおみやについての説明はこちら。

メイン会場「旧市民会館おおみや」は、1970(昭和45)年に完成し、2022年3月の閉館に至るまで半世紀余り〝市民のハレの舞台〞を支え、多くの人々に親しまれた劇場。閉館以降閉ざされていたその扉が、芸術祭開催に伴い65日間ふたたび開かれる。目[mé]がディレクションを手掛けるメイン会場には、現代美術家、研究者、編集者、演出家や盆栽師など、さまざまなアーティストが参加し、多様な公演や展示作品を連日展開する。また、公演の準備やリハーサルなどの様子も公開。展示作品の中には会期中に変化するものもある。“動き続ける会場“として、訪れる度にその表情を変える。

―「さいたま国際芸術祭2023」HPより引用(リンク

 

ヘタクソな写真やね

会場に隣接した公園を横目にゆったり歩いていると、巨大な長方形型のスクリーンが目に入りました(写真左上)。まずは「Time Base Documents」がお出迎えです。数秒間隔でさまざまな写真が移り変わるスライドショーが展開されています。クール。

コンビニで発券したチケットを受付で交換して、ついに入場。マップによると一階にはどうやら三つの作品があるようです。ロビーの中心には平尾成志さんの「幻姿文飾」がありました。四つの盆栽と観賞用の椅子が等間隔に並べられていて、さながら休憩場所のようでした(実際作品を観ていない人も)。何のキャプションもありませんでした。

ヘタクソな写真2やね コンセント映ってるし

盆栽の鑑賞技法とか全く分からないんですけど、枯盆栽だけ直感でカッコいいって思うんですよね。ラスボスの最終形態みたいな精神性?と、若々しい緑を削ぎ落とした白から感じるそこはかとない哀愁。四つのうち一番右にあったこれは、背景とのコントラストも相まって超カッコよかったです。

二階に向かい、詩人の伊藤比呂美さんによる朗読を聴きました。こちらも何のキャプションも無く、フロアの隅の椅子にヘッドホンがいい加減に置かれているだけでした。まあ、本題は音なので…。聴いてみると、何らかの作品(おそらくこの会場の作品)のオレンジ色が金木犀で作った酒(臭いらしい)を思い出させる…という雑談?で肩透かしを食らいました。パンフレットには「毎日異なる音源が再生される」とあるので、詩の朗読に限った内容ではないのでしょう。近所の人と話す感覚でのほほんと聴けましたけど。

ちょっとテキトー

そして、ここでひとつ不可解な点を見つけました。二階のフロアを半分に区切るような形でアクリル板が張ってあるんです。遮るだけなら不透明な壁を立てれば十分だし、それ以前に遮ったら経路が複雑化するじゃあないかと。

不自然なマップ

…何を隠そう、これこそが芸術祭の目玉でした。

この先の「大ホール客席扉」は、大ホールの客席+ステージを囲う坂の通路(モフモフで楽しい)に繋がっています。ここでもアクリル板が使われていて、なんと大ホールで行われる事柄の全貌を枠の外側から鑑賞することができるようになっているんです。これによりショーの観客はおろか裏方までインスタレーションに包含してしまう。ヒエー!恐ろしいです。

そのまま坂を下り一階の経路を辿っていきます。今度は楽屋などが連なる道に繋がっていて、そこで芸術祭の裏で動く人々の様子をアクリル板越しに観ることができるのです。でもやっぱり「どうせ作り物なんだろ?」と思いつつ少し開いた男性トイレのドアを凝視していた私。普通に人が出てきてかなりビビりました。どこまでが作品なのか?そんな疑問を巡らせていると、机にアクリル板がめり込んでいる部屋が。

変な応接室

右の絵は白鳥建二さんの『日々是是』。勿論れっきとした作品です。じゃあ仕切られた奥の部分は何?こんな調子で作品の境界があやふやに暴走し始めます。額縁が私たちを呑み込まんとしている恐怖。

マージナルペン

こういった体験を経た後に、アクリル板越しの観客を、「さいたま国際芸術祭の作品を鑑賞しにきた」人、本来自分たちと同じ存在であろう人たちを目にするとどうなるか。主客が逆転し、自分が観られる側、すなわち作品側に取り込まれたことを自覚してしまうんです!キャー!怖いというより面白いんですけどね。

とりあえず、さいたま国際芸術祭2023のレポートその①でした。ほんとは全部まとめて書きたかったんですが、日を跨いでしまうと連続更新記録が途切れてしまうということもあるのでこんなところで。明日にはJim O'Rourkeの話まで書き終わらせようと思います。

 

 

- - - - - キ リ ト リ - - - - -

 

今日の「1日1ラ」は、90s・543位・Botch『American Nervoso』!2ndは聴いたことあります(#123)。

①シンプルな6/8を基調に丁寧な暴れっぷりを見せる。

②転びそうになるほど前傾姿勢なイントロ。ベースがカッコいい。1:00~刻みが良い。1:54~3対4のポリメーター。シンプル。

③ヘンテコ不協和音リフのアウフタクト。前半はポストパンク味が強く、後半にハードコアらしい盛り上がりがある。

Black Sabbathに回帰したかのようなスローテンポとトライトーン。歪みが強くなりモダンさを取り戻す。合間に聴こえるガキョン!て感じのカッティング音もカッコいい。静かなイントロが再現されてからの熱の上がり方は必聴。

⑤おまw 開幕すぐブラストビートと大シャウト。収拾のつかないテンション。高速ハンマリング/プリングを駆使したリフも良い。中盤で突然落ち着き、ギターは横に長く伸び、なんとピアノが鳴り出す。低い鍵でそのまま終わる。こわい!

⑥ギターが左、ドラムが右から聴こえる。ぶっ潰れている。ボーカルもラジオ。0:58~開放。ポリメーターと変拍子の重ね技により小節の境目が分かりづらく溶けていく。

⑦遅め。ベースがよく歪んでいる。ギターはよく揺れている。ここでも3対4のリズム関係が浮かび上がる。

⑧いい刻み。ボーカルが怖い。

⑨くどいほどのトライトーン。1:56~メトリックモジュレーションを混ぜ込んだいい感じの複雑さ。3:03~リズム隊大活躍。からのギターがキュインキュイン。

⑩まずは弱く入る。そして爆発。Botchにしてはシンプルすぎる。

総合:狂気溢れるマスコア。3対4のポリメーターや変拍子を多用し拍子感覚を狂わせてくる。攻撃的で比較的聴きやすいが個人的にはさらに攻めている2ndの方を推す。

お気に入り:③④⑦

今日はここいらで、おやすみなさい。