音楽を食べていくよ!

音楽以外も食べていくよ。

『セッション』観たけど分からん【今日の吸収 #130】

おはようございます。

  • 🎬セッション (2014) 👀
  • 💿The Mothers of Invention - Weasels Ripped My Flesh (1970)
  • 💿Premiata Forneria Marconi - Storia di un minuto (1972) 👀

『セッション』(字幕版)をアマプラで観ました。以下ネタバレ有。

簡潔にまとめると、名門学校シェイファー音楽院に所属する主人公・ニーマンが熱血スパルタ鬼教官・フィッチャーにシバかれまくる話。原題は『Whiplash』で、主人公は劇中で同名のジャズナンバーをひたすら練習することになります。なお意味は「鞭打ち」

まず凄いと思ったのは迫力満点の演奏!主人公はほぼノースタントらしく、感情が籠りに籠った演奏シーンの数々にはただ圧倒されます。特にラストシーン(後述)はヤバい。

そしてフレッチャーの鬼教官っぷり!第一に口が悪い。Fワードはもちろん、下ネタも織り交ぜて口撃してきます。ただ、父子家庭の主人公に対して「だから母親に逃げられるんだ」などと個人的な部分に踏み込んだのは「流石にライン超えたな!!!」とムカつきましたね。次に上げて落とす、アメとムチ。実に模範的でした。褒めてニコニコしてるな~と思ったら次の瞬間に豹変しブチギレ。怒りのボルテージをじわじわと上げながら生徒に近づき、目の前でブチギレ。演奏シーンもさながら、演技の抑揚も素晴らしかったですね。

以下ストーリーに沿った感想。

ニーマンは初級クラスに所属していましたが、ひたむきに練習する姿がフレッチャーの目に留まり、いろいろあって上級クラスのグループバンドで活動することになります。ニーマンは褒められて打ちのめされてを繰り返し、ドラムの狂気に憑りつかれていきます(その過程で行きつけの映画館の店員・ニコルと付き合い、別れてもいます)。比喩ではなく文字通り「血と汗と涙」滴る(滴りすぎだけど)練習シーンはとても痛々しく、こちらとしては情緒的にも映画の展開的にも「いつになったら報われるのだろうか」と思ってしまいました。

映画の中盤?でフレッチャーは教室に入ってくるや否や生徒に「楽器を置いてくれ」と言い、ショーンという教え子が交通事故で亡くなったことを語り始めます。彼もはじめは落ちこぼれでしたが、フレッチャーが熱意を買って指導した結果、有名バンドのトランぺッターとして活躍するまでに実力を上げたといいます。最初はCDに録音されたショーンの演奏をバックに、涙ながらに命を惜しんでいました。鬼教官の普段見せない一面がみられ、悪い人じゃないかも…と同情を誘われるシーンですね。

その後、地獄のような試練を経てニーマンは大会に出場。しかし会場に向かうバスがパンクし、レンタカーを借りて向かうことに。会場には着いたもののレンタカー屋にスティックを忘れ、フレッチャーからは「自分のスティックで位置につけ」「もし1つでもミスを犯したら即刻ナッソーに逆戻り」と言われ、爆速でスティックを回収して会場へ…。アクセルベタ踏み、かつバンドメンバーと電話をしながら運転しているニーマン。これはまずい!と思った次の瞬間、トラックが横からドーン。言わんこっちゃない。レンタカーはひっくり返りニーマンは血まみれに。それでもやはり大会を優先。ヒエ~。ギリギリで会場に辿り着き、なんとかドラムを叩き始めるものの流石に力が入らない。ここは特に観ていて苦しいシーンの1つでした。当然演奏は中断。フレッチャーに「終わりだ」と告げられアンドリューは激昂。マイクに向かうフレッチャーを押し倒す!結局周りの人たちに捕まり「Fxck you!!!」と捨て台詞を残し強制退場。こうなるのも仕方ない。

で、場面転換。ついに退学処分をくらったニーマンのもとに謎の弁護士が登場。父親も同席し、3人でテーブルを囲む。弁護士はフレッチャーの教え子・ショーンが首吊り自殺をしていたことを明かし、ニーマンを彼のような犠牲者にさせないために会いに来たといいます。あれ?フィッチャーは交通事故って言ってましたよね?ここでフレッチャーがヤバイ奴だと確信しました。この後の展開がどうなるのか不安にもなりました。

ニーマンはドラムを片付けCDをゴミ袋へ入れ、音楽と距離を置きました。…それでもある日、ジャズライブのゲストに偶然か必然かフレッチャーの名前を見つけてしまいます。こじんまりとしたライブハウスに入ると、そこには楽しげにピアノを弾くフレッチャーの姿が。この時映るニーマン、色んな感情が入り組んでいるであろう複雑な表情をしています。演奏が終わり立ち去ろうとしたものの呼び止められ、2人で少し話をすることに。わだかまりも無くなって楽しそうな会話シーンですが、フレッチャーは「誰かの親」から告発を受け、シェイファー音楽院から解雇されたといいます。「誰かの親」ねぇ…。その後フレッチャーは熱血指導の理由を明かし、去り際にはジャズフェス(JVC)に参加するプロのバンドのドラムを代わってくれないかとニーマンに尋ねます。なんと曲目は音楽院で練習した『Caravan』『Whiplash』!ニーマン、ニマニマ。

JVCへの参加が決まりウキウキのニーマンは元彼女・ニコルに電話し、俺の演奏を観に来てくれと誘います。よりを戻そうとしましたが、案の定彼氏がいました。しょんぼりニーマン。

JVC当日、何も起きないはずがなく…。演奏直前にフレッチャーが「私をナメるなよ。密告はお前だな」と言い放つ。慌てるニーマン。そして演奏する曲は『Caravan』じゃなくて全然知らない曲でしたよ~ん。楽譜も無いので、即興で演奏するニーマン。ボロボロです。見てられません。演奏が終わりしばらくして拍手がパラパラと鳴り始めると、フレッチャーが「お前は無能だ」と一言。そう、すべては密告により面目を潰されたフレッチャーの報復だったのです!とんだサイコパス野郎です。ニーマンはトボトボと立ち去り、ステージ袖の父親と抱き合い、「さあ帰ろう」。この言葉が引き金となったのかニーマンはなぜかステージに戻りました。流石にあのフレッチャーも訝しげな表情を見せます。

フレッチャーは次の曲の紹介を始めますが、ニーマンはそれを遮るようにドラムを!叩き始めます!キターーーーーーーーーーーー!!!!!最後の最後に激熱シーンです。ついにニーマンの逆襲が!!!困惑するフレッチャーやバンドメンバー。自ら合図を出し、『キャラバン』を演奏。ベースが綺麗に入り、鳥肌が立ちました。フレッチャーも止めるわけにはいかず、指揮をするしかない。ニーマンに近づき「目玉をくり抜いてやる」と言いますが、打ったシンバルを顔に当てられますwなんだか爽快。その後もただただカッコいい演奏とカメラワークに魅せられ、曲が終わったかと思いきやニーマン覚醒。ほぼ狂気のドラムソロが始まります。ぼやける意識を再現しているシーンの没入感が凄く、ニーマンに感情移入(精神移入?)できましたね。最初はフレッチャーも「何のマネだ?」と言っていましたが、途中からはニーマンをサポート。もう完全に「セッション」でしたね!これね!最後はスネアのスピードを調節しながら段々盛り上がり、バンッ!と一瞬時が止まりフレッチャーが何かを言い(顔の上半分しか映っておらず無音なのがニクい表現)、ニーマンが笑みを浮かべます。そのあとブラスも全部入ってきてデーーーーンと鳴りシンバルパシャーンで暗転!終了!そういう終わり方か~!うわ~!

余韻が凄かったですね。これで終わるんだ!と。綺麗ですっきりした終わり方ではありましたが、少しして「結局何が言いたいんだろう?」と思いました。最後は利害が一致?したというか宿敵との共闘?というかそれでニーマンの才能が開花した激熱展開としてまとまっていたのですが、結局フレッチャーは最初から最後までサイコパス昭和ジジイだったんですよね。教育指導に対して問題提起をしている作品…というようには考えられませんし、フレッチャーはただ単に狂人だったのでしょう。それで、もともと狂人になる才能があったニーマンはフレッチャーによって狂人になったということです。

狂人が、狂人を育てて、最高の作品を作り上げた。そういうこと?イマイチ分かりません。私は鑑賞してから日を置かないとこういうことが考えられないタイプなので、頭を冷ましてまた考えます。とりあえずジャズ楽しい!音楽楽しい!って感じではないです。狂気のぶつかり合いを観たい方は是非。

 

- - - - - キ リ ト リ - - - - -

 

今日の「1日1ラ」は、70s・404位・Premiata Forneria Marconi『Storia di un minuto』!ちょいコワ。

①いかにもプログレっぽい雰囲気。②アコギと歌。最初はかなり静か。いい感じに盛り上がり一気に音数が増え、びよびよしたシンセのソロがサビ代わりに始まる。後半のスネアが好き。③ピアノとギターの音色、曲調などもろもろ初期Queenっぽい。シンセが入るとELPでもこっちの方が先らしい。シャッフルリズムが軽快。ギター・ベースフレーズ共にカッコいい。リコーダーも面白い。④アジアっぽくて好き。ギターの音色が今まで聴いたことのないレベルでカラカラしている。音の分離が良いってことなのか。『Planet Caravan』に似ている。⑤オルガン。さっきの曲のパート2ということで、フレーズはそのまま同じもの。このまま厳かな雰囲気でいくのかと思ったらハイテンポなピアノが左右から。良い。ドラムが入ってからはさらにカッコいい。一旦止まりジャーンジャーン。再びテンポがゆるやかになり落ち着いたチェロ?とピアノのアンサンブルが始まる。とてもクラシカル。しばらくするとチェンバロが6/8拍子メインのフレーズを弾き出し明るい曲調に。歯切れのいいフルートも良い。⑥分かりやすいメロディ。コード進行も馴染みやすく美しい。アコギ1本の間奏でも表現力があり飽きずに聴ける。4:38~強めのストロークでハイテンポの演奏が始まる。ドラム、ベース、オルガン、バイオリンが加わり豪華に。ベースいちいちカッコいい!後半はKing Crimsonのようなブレイク多めのキメも聴ける。⑦最初がThe Beatles『Julia』に似ている。音数少なめで質素なアコギメインのパートから豪勢なブラスセクションが目立つパートへの移行はかなり盛り上がる。チューバの音が良い。

お気に入り:③⑥⑦

今日はここいらで、おやすみなさい。