なるたけ遠くに逃避計画

THE ULTIMATE ESCAPE PLAN

GEZAN / ZAZEN BOYS @Zepp DiverCity 軽ライブレポ

 

7月2日、GEZANとZAZEN BOYSのツーマンを観にお台場のZepp DiverCityへ。二組どちらも観るの初めて。埼玉に越してきて9年も経つのに、一人でお台場行ったのもこれが初めてかも。DiverCityが「台場」にちなんだネーミングだというのも経路を調べる過程で初めて知った。初めてがいっぱい!

 

 

17:00 - お台場海浜公園駅Zepp DiverCity

 

DiverCityの最寄りは台場駅なのに、勘違いして「お台場海浜公園駅」に降りちゃった。でもそんなに離れてなくて良かった。10分ほど歩いてすぐ着いた。歩道橋を渡って、会場にくっついてるらしいダイバーシティ東京のフードコートを抜けたらガンダムの背中が見えた。ここは何回か来た事ある。そして左手に入り口が見えた。なるほどそういうことか!地理を把握して安心。ちょっと暇なので公園を散歩。火曜日でも外国人観光客がいっぱい。東京凄いなー。

 

ガンダムなのか知らない

 

すずめもいました。

 

すずめ

 

人はたくさんいました。

 

公園には誰もいない

 

ここがライブハウスの入り口。17:20分ごろ、ここの前にあるベンチに座って、周りの様子を伺いつつ待機することにした。GEZANのファンは基本的に赤いので非常に分かりやすいが、この時右側にマヒトゥ・ザ・ピーポーじゃないとありえないくらい赤い人がいてつい二度見してしまった。自分も赤い服があれば着ていったけど、如何せん白黒ばっかりなので。ちなみに、前行ったリリースパーティーで買ったDos Monosの黒Tシャツを着てた。オルタナという共通項と派手すぎないので浮かないと信じて。

 

 

時間経過。30分、左肩にギターのマークを付けたスタッフがウロウロし始める。41分、ポールの設置が始まる。48分、辺りに。52分、メガホンで入場の際のアナウンスがなされる。57分、整理番号順で入場が始まる。途中からは5番刻み、100番からは10番刻みでテキパキ。私の整理番号は170番なので、すぐ呼ばれた。

 

170番

 

18:02 - 入場

 

ウッホ、ウッホ(ゴリラの足取りで)

デカいロゴの写真を歩きながらパシャリ。階段を下りていざライブ会場へ!

 

遊園地に来たみたい

 

スマホの電子チケット画面で「チケットを提示」を押し、スタッフにポチっと確認してもらう。「THANK YOU」とバーチャルスタンプが押された。こちらこそありがとうございます!!!!!続いて600円を払いドリンクコインを受け取る。無難にペットボトル水と即交換(オリジナルのボトル掛けストラップももらった。お洒落でイイネ!)。脱水症状が出たらまずいので交換しない手はなく、途中で抜けたらこれからの位置取りが勿体なくなるのと、最後に交換すると混んでぐちゃぐちゃになりそうだから。秒でやるべきことを終え、早歩きでホールに向かう。

 

広く薄暗い空間ではNirvana《Heart-Shaped Box》が流れていた。そのまま待ち続けていると、どうやら『In Utero』を丸ごと流していることが分かった。*1

 

おそらく、というかほぼ間違いなく、先々月急逝したオルタナティヴ・ロック界の伝説的レコーディング・エンジニアであるSteve Albiniへの追悼の意を込めたセレクトだろう。『In Utero』は彼が残した数多くの功績の筆頭として挙げられる名作だ。そして、オルタナをひた走る本日のツーマン、ZAZEN BOYS(もとい向井秀徳)とGEZAN*2の双方が彼に強く影響を受けていることはもはや言うまでも無い。

 

youtu.be

 

そんなしんみりしたKIMOCHIを胸に、ステージの方を見やる。「45th Anniversary」と書かれたドデカ看板。そうだ、このライブはプロモーター・HOT STUFF PROMOTIONの記念イベントなんだった。45周年ということは、つまり私が-26歳のときに設立されたということか。凄いな~。めでたい。今回も素晴らしいイベントをありがとうございます!ありがとうございます!(素振り)

 

「45th Anniversary HOT STUFF PROMOTION」

 

さて、客の込み具合はというと、最前から二列目まで完全に埋まっている状態だった。先行抽選開始20分後の申し込みでGETした整理番号170では、もちろん最前不可能!じゃあ三列目に行くかというとそうではない。別に出来るだけ前で観たいわけではない。いや、前で観たいけどモッシュや圧縮が怖いというのが正しい。やはりGEZANにビビっている。彼らがしっかりハードコアなバンドだと知っている。だから、二つ目の柵の一列目で観ることにした。ガラ空きではなかったので、なるべく真ん中に近い場所をとった。よし、これでモミクチャにならないぞ。

 

…間違っていた。モッシュや圧縮は前への運動なので、安寧を得るためには二つ目の柵の前に位置するべきだった。このことに気づいたとき、既に周りはHITODARAKE。前も後ろもパンパン。前は5,6列くらい出来てたけど視界良好だしいいや!と思ってそのままスマホポチポチ待機。

 

ここでーす

19:00 - GEZAN

暗転!わーーーー!!!《Absolutely Imagination》《DNA》が脳にバチコーン来た高2以来ずっと生で観たい観たいと思っていたGEZANが来る!!!狂!!!

 

…なお、事前調査で「GEZANは超爆音らしい」といった情報をいくつか目にしていたので、本当は裸耳?で楽しみたいところ、大事を取って耳栓を。普段から耳を酷使してるので。KNOTFESTの時にしっかり効果を発揮した、遮音性能が高くかつ原音が自然に聴こえる Crescendo Fcking Loud を装着して準備万端。さあカモン!

 

 

プァ~~~~とバグパイプの音色が響き渡り、暗い会場は真っ赤に染まって大歓声。イーグル・タカ(gt)がバグパイプを吹きながらメンバーを引き連れて登場。うわーガチで弾いてるじゃんーー!Kornぶりの生バグパイプ。石原ロスカル(dr)が刻みを細かく足しながらじわじわビートを組み立て、ヤクモア(ba)が一拍目にアタックを入れ込む。謎の仮面を被ったマヒトゥ・ザ・ピーポー(vo)は怪しくクネクネ踊り時々何かのツマミをいじる。ダブ特有のディレイがかったスネアも炸裂し、湿気のある呪術的なグルーヴに会場が包まれたところで、イーグル・タカがいつの間にか持ち替ていたギターで《誅犬》のリフを弾く。ぶち上がりというよりはしかめっ面(いわゆるstank face)でぐにゃぐにゃ身体が揺れてしまう。冒頭から脳と下腹部に来るダブサウンドに陶酔。バンドメンバーの佇まいも脱力感があってとてもカッコよかった。

 

曲と曲の境目はディレイや轟音に紛れて溶け合っていた。新曲やります!と高らかに新曲が始まった。ノリノリのダブ/レゲエ・ナンバーで引き続き会場を揺らす。イントロで「繰り返される諸行無常…」と向井秀徳お馴染みの口上をボソっと歌い始めた。今日ならではの激アツ演出に会場はかなり湧いた。「ユ~エフオ~~(UFO)」と伸びやかに叫ぶポップでレゲエな2つ目の新曲も良かった。倍テン最高。ヤクモアがイントロでディジュリドゥ吹いてた気がする。面白かった。

 

続いて《AGEHA》。バチバチのベースリフでここはぶち上がり、ハイスピードでハードコアに急転回。前の列で軽いモッシュが起こっていた。歌詞中の「いいね」をハモるのが楽しい。『狂(KLUE)』の流れで《Soul Material》。白い照明の下、仮面を外したマヒトゥが身振り手振りと共に歌い出した。メロディとメロディの間に余白があるのだが、その長い余白の間にほとんど歓声が聴こえず驚いた。みんなが一心に耳を傾けているのが分かった。とても良かった。心が満たされた。三人のアンサンブルもビタビタだった。

 

youtu.be

 

《Free Refuges》ではマヒトゥ以外の三人が一斉にドコドコドラムを叩いて再びヒートアップ。ああもうよくわかんな!オトガイッパイアッテキモチイイ!〈Free refugees right now right now...〉と拳を掲げて合唱。強い歪みとリバーブでぼやけたギターのハーモニーから、うっすらと次の曲の輪郭が見え始める。これはもしかして《東京》か!キラーチューンではありながらモッシュするような曲ではないので、しみじみ聴いていた。真剣に語り掛けるような歌い方、サビの全力シャウトで仰け反る姿と長髪、爆発するアンサンブル、鳥肌が立った。凄く綺麗だった~。

 

ここでやっとMC。マヒトゥ曰く向井秀徳とは以前*3一度対バンしてからはたまたま銭湯で会うくらいの仲で、シャーク(元ドラム)と喧嘩していたときに「まあまあ、今日は最高でしたよ」と仲裁してくれたことがあって感謝している、さっき楽屋で発声練習をしていたので真似します→「石焼き芋~」とまたもやサービス。一気に和やかになった。イーグルは「ライブって最高(要約)」と言っていた。最高だ。

 

「後二曲やります」の声で何人も「え~」という声を漏らしていた。私も同感。あっという間すぎるだろ!!!きっと転換があるからアンコールも起こらないだろうし、諦めて最後の二曲を全力で楽しんだ。しんみり《I》とノリノリ《DNA》。特に《DNA》は《Absolutely Imagination》と並んでGEZANに惚れた曲でもあるので、とても嬉しかった。〈その為にファズがある〉の部分でイーグルが超新星爆発を起こしていた。ここが一番盛り上がっていたかもしれない。他にも掛け合いどころが多く、最後に相応しい曲だった。素晴らしかった。

 

19:56 - 転換

 

退場後すぐ拍手が揃い始めるも、すぐに会場BGMがかかりアンコールは諦め。めっちゃくちゃ早かった(それもそのはず一時間弱)。《Absolutely Imagination》や《Blue Hour》、《Wasted Youth》とか速い曲もやってほしかったな~と一瞬思ったりしたが、すぐ忘れた。ボーっと《Rape Me》を聴いて余韻に耽っていた。

 

ZAZENへの転換が始まった。前列の人口密度が増えた。ZAZENの方が人気なのか?よく分からない。機材搬入だけで興奮してしまう。ストラトだ!ベースだ!テレキャスだ!半分くらいドラムのマイキングに時間をかけていた。サウンドチェックで鳴らされたキックがめっちゃ重かった。かなり手こずっているようで、ベテランスタッフまで出てきた。白Tで黒いグラサンを掛けた白髪交じりの…って向井秀徳じゃん!!!なんのアナウンスも暗転もなく、あまりにぬるっとした始まり。半ば困惑しながら歓声と拍手で迎えた。他のメンバーも流れで会釈しながら登場。もう面白い。

 

20:12 - ZAZEN BOYS

 

MATSURI STUDIOからやって参りました、ZAZEN BOYSです」と向井秀徳(gt/vo)がいつもの台詞を飛ばし、会場は大いに湧き上がる。ドラムを囲うような配置を取り、4カウントから《Fender Telecaster》の一音目が鳴らされた瞬間、先ほどまで会場を包んでいた穏やかな空気がキンキンのキンに研ぎ澄まされる。こ、これが「6本の狂ったハガネの振動」…。鋭利なキメが何度か続き、何度も家で動画を観て/曲を聴いて感じたものとは比にならない緊張感が身体に注入される。「ワン!ツー!ワンツースリーフォ!」で《HIMITSU GIRL'S TOP SECRET》の7拍子リフが始まった。わあああ!!!!!(セトリ後半に来ると思ってたのに早い!)もちろん会場は大盛り上がり。ここで気になったのはみんなの乗り方。基本的にフレーズごとに途切れたギクシャク型が多かった。私と同じく4分音符単位で拍を取っている人影は観測範囲内では見当たらなかった。そんなことより。キレキレすぎる。そして一つ一つのパンチが重い。湿度が高く開放的な音像だったGEZANに対して、ZAZENはタイトで硬質な密室サウンド音の交互浴か。松下敦の超絶ヘヴィで躍動感溢れるドラミングとMIYAの一糸乱れぬパワフルなスラップベースによる最強のリズム隊で腰がうねる。これまでの経験値を活かして乗りまくっていた。

 

「今日は火曜日ですけど、私からしたらWeekend」と始まる《Weekend》。この曲の見どころと言えば、イントロ、カシオメンによる大暴走ノイズギター。思わず沸いた。大体ここらへんで自分の中の「上手すぎ上限摂取量」が突破されてしまって、夢見てるんじゃないかと思い始めた記憶。

 

向井がギターを手放し「ZAZEN BOYSのバラクーダという曲を聴いてみましょう」と始めた《バラクーダ》。今年リリースされたばかりの『らんど』収録曲がやっと聴ける。スリーピースでこの音!MIYAのベースで前のめりに乗れる。最高。両手が自由になった向井は、歌詞に合わせてジェスチャーをとって楽しげ。アリゲーターで両腕をワニの口に見立てて手拍子するとこが好き。新しい学校のリーダーズ《オトナブルー》の首振りダンスも見せてくれた。あざとい。

 

youtu.be

 

「GEZANとZAZENの響きが似ているから、自分のバンドの名前を忘れてしまった」というコテコテにオヤジすぎるボケをかましていた。「DOGEZA BOYS」「GEZAN BOYS」「ZAGEN BOYS」と言っていたので「この流れでもしや《ZEGEN VS UNDERCOVER》あるか!?(絶対にない)」と思ったりw

 

《COLD BEAT》の高速7拍子にはかなり驚いた。各々の微妙なタイム感の違いが大きなうねりを作り出していて、それは基礎ビートより高次元な、楽曲のよりマクロな単位に還元されている。これはメンバー全員の呼吸が合った状態でないと生まれ得ないものだと思う。本当に凄い。いくら首を振っても足りないほど楽しかった。鬼気迫るソロパートカッコよすぎた。MIYAがメガネを外して本気モードになっていたのに気づいた。泥沼パートも楽しかった。

 

ステージ袖に合図をし、アサヒスーパードライ?をスタッフからもらう向井。無言で飲む。謎の拍手。どう反応するべきか分からないこの空気感にニヤニヤしていた。次はまた『らんど』から二曲《チャイコフスキーでよろしく》《ブルーサンダー》。どちらもスクエアな乗りなのでアンサンブルの安定感が際立つ。みんなゆらゆら。向井がリードを弾いていた。節のついた歌もカッコよかった。

 

向井もようやく「全員が吉岡里帆に見える時間」に突入したらしく、ここからが本番っぽい。再び両手フリーでオーケストラの如く指揮をして始まった《ポテトサラダ》はグルーヴがかなり増し、可愛らしく明るいフレーズが非常にヘヴィに化けていて面白く、そこから語り口調でシームレスに「でも本当は、本能寺でずっとx4待ってる」と《Honnoji》が始まってしまい大興奮。イントロの手拍子をこなし、ピョンピョンタイム。変則的なキメの部分は最後がちょっと長くなってた。

 

youtu.be

 

開放弦の心地よいスラップとMaj7の甘美な響きから優しく入った《YAKIIMO》。GEZANと対バンしてるし《Delayed Brain》みたいにダブ要素を強めたりしたりして~…そんなことなかった。でもヒリヒリしていた。石焼き芋~」の響きにここまで心を動かされるなんて。そこからの《永遠少女》も最高だった。ベースの入りが音源以上に気持ち良かった。

 

最後は《乱土》《胸やけうどんの作り方》。音源まんま。胸やけうどんのイントロは、「ディス…………………………カウン…………………」みたいにめっちゃ溜めてて笑った。そんな中バンドメンバーは真剣に向井を凝視してタイミングを見計らっていた。なんだこの空気感。やっぱり変すぎて面白い。レシピも本来の歌詞通りじゃなかった気がする。でも乱れ散ったからいいか。「どげんだっちゃよか」で締め。

 

もちろんアンコール。「手拍子がどんどん早くなっていってある程度限界を迎えたら後ろから遅いテンポの波に飲まれる」という科学的な現象を経験した。ZAZEN BOYSは1分もしないうちにステージに現れてくれた。最後の最後は《KIMOCHI》。マヒトゥが舞台袖から現れ、本当にGEZAN BOYSが完成した。マヒトゥは下手側で子供のように無邪気にぴょんぴょん踊りながら、瓶ビール的な何かを飲んだり、たまにハモってサビを一緒に歌ったりしていた。この曲もただのバラードでは終わらず、何度か爆発する瞬間がある。それが良かった。GEZAN BOYSは楽器を置いて肩を組んで会場全体を巻き込んだ「K.I.M.O.C.H.I」を合唱。こちらも負けじと手を高く上げて大合唱。泣きそう;;

 

あったかい対バンだった。

 

21:30 - 余韻

 

GEZANとZAZENとZeppの、Zが尖っててカッコよかったです。

 

ありがとう

セトリ

2024/07/02 @Zepp DiverCity

HOT STUFF PROMOTION 45th Anniversary

GEZAN(19:00~19:56)*4

 1. 誅犬
 2. 新曲
 3. UFO
 4. AGEHA
 5. Soul Material
 6. 新曲?
 7. Free Refuges
 8. 東京
 9. I
 10. DNA

ZAZEN BOYS(20:12~21:30)*5

 1. Fender Telecaster(イントロ)
 2. HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
 3. Weekend
 4. バラクーダ
 5. COLD BEAT
 6. チャイコフスキーでよろしく
 7. ブルーサンダー
 8. ポテトサラダ
 9. Honnoji
 10. YAKIIMO
 11. 永遠少女
 12. 乱土
 13. 胸やけうどんの作り方

 14. KIMOCHI(アンコール)

 

ばいば~い

 

*1:隠しトラックは5分空白が続いた辺りで飛ばされて頭に戻った

*2:GEZANに関しては実際に彼を迎えて4th『Silence Will Speak』を制作した。

*3:これ?👉https://heathaze.tokyo.jp/2013/04/here-and-there-2/

*4:https://x.com/kyoushukudes/status/1808148360165294102

*5:https://x.com/a6sk/status/1808114991192760469