- Eric Dolphy『Out There』
1st『Outward Bound』の翌年にリリースされた2枚目のリーダー作。サックス、チェロ、ウッドベース、ドラムの変則カルテット。たまに重音奏法を挟むことはあれど全てが単旋律楽器なのでコード感が薄い。ドラムと何かしらのデュオとして演奏される瞬間も多く、そのときはもうお手上げである。現時点の私はコードやモードの枠組みがはっきり提示されてようやくDolphyの運動が観測できるくらいの耳しか持っていないので、補助輪がないとヒジョーに難しい。一聴した限りだと全然わからないが、《Serene》で展開されるスローで煮え切らない時間感覚は好きだ。《Out There》と《The Baron》では、テーマ部に前作の《Les》っぽい節回し(語尾)がある。手癖っぽい。
- 風呂場にGが出た。2年ぶりくらい。
- 部屋を出るタイミングでクソ強い風が吹いて扉が閉まり、右手親指の付け根当たりを挟んだ。シビれた。アイスノンで30分冷やした結果、無事痛みは消え、今は赤く細い線で跡だけ残っている状態だ。指チョンパにならなくて良かった。
- The Shaggs『Philosophy of the World』
十二平均律というイデオロギーからの逸脱を、それを意識して作られたはずの音楽の中でどう位置づければいいのか。音響として包括的に処理したほうがいいのは分かっているが、絶対音感とエリート主義がタッグを組んで生理的に阻んでくる。ノイズを色々聴いてきたのにも拘らず、感覚的には未だネガティヴに捉えてしまう。さて、この問題を解消するために、スカムに慣れてみたい(ここまでの思考過程はめんどいので飛ばす)。個人的にスカムという単語の意味は分かっているつもりだが、有名作品に触れたことはあまりない。ということで、今日はまずスカム界の大御所(?)The Shaggsに挑んでみた。色んな所で見かけた評判から「ド素人バンドの壊滅的アンサンブル」というミリしら偏見を持っていたが、想像していた種類の下手さではなかった。どのパートも音はハッキリ出ているし、よく録れている。作編曲はよくわからないが、音にする前の段階ではシンプルな60sのマージービートをイメージしてそうな感じがある。①ここでの主要な変数は多少の音色とリズム(タイム感)だ。②各々のパートは各々の規律に従って比較的自由に動いているものの、「書かれた曲」に紐づけられているという点で完全に独立してはいない。③フォーキーなボーカルの存在。この三点を掘り下げ鯛。…一日中ぐるぐる頭を回したが、綺麗な着地点は見つからなかったので、一旦区切っておく。ネタ扱いするには勿体ない代物だ。