いつからか、ゲームが時間の進みをとんでもなく早くしてしまうということに恐ろしさを覚えてしまっていた(自分は違うと思っていながら、本当はタイパ志向に取り込まれていたのかもしれない)。それなのに、長編RPGをやってしまった。きっかけはただの気まぐれ。バイトの面接に応募してテンションが上がったノリで手を出してしまった。初バイトの日までで終わる、中程度にボリュームがあるゲームということで、RPGを選んだ。ちなみに私は『ポケモン』『妖怪ウォッチ』といった育成型RPGしかプレイしたことがなく、『ドラゴンクエスト』や今回プレイした『ファイナルファンタジー』といったパーティ固定の王道RPGを全く通っていない。王道はいつかやりたいと思っていてできなかったので、一本やってみようと思った。タイトルを『FF10』に決めたのは、超名作らしいという評判を知っていて、しかも丁度セール中だったからで、あまり深い意味はない。
プレイ時間:61時間(5/2~5/15)
ゲームオーバー回数:9回
- キノコ岩街道でフンゴオンゴ(初見)に全員眠らされボコボコにされる
- シーモア終異体初見、「完全なる破壊」で一掃
- 魔天のガーディアン(初見)、バーサクで壊滅
- ユウナレスカ(初見)、ゾンビの対処法を知らず壊滅
- ヘレティックイクシオンとかいう裏ボスに間違えて挑戦してしまう
- シンの頭部(~二回目)
- ジェクト(~二回目)
良い点
- まずはストーリー。軸はセカイ系ってやつなんですか?自己犠牲の役割がヒロインから主人公に移って両者の立場が反転するのが良い。ティーダが自身の秘密をギリギリまで隠したのは合理的ではないけど、彼なりの青い優しさだと考えれば納得がいく。それでいて結婚の件を一人で抱え込んだユウナとも似ている。他には、差別問題、物語形式としてのエディプスコンプレックスからの解放、近代批判とか、色々なテーマが混ざっている。フロイト(アニマだの夢だの)とか神話とかに詳しければ、さらに楽しめそう。
- ラスボスの演出全部。感情的でぶっきらぼうな会話。ティーダが親父を助けようとする。しんみり展開から、ヘヴィなディストーションギターと共に異形と化した親父が登場。がーずるいけどカッコいい!面影を残したその見た目にもかなり心がやられた。さらに、最初の攻撃コマンドでターゲティングするときに、表記が「ブラスカの究極召喚」だったのを見て、切なさに悶えた。あまりにも憎い演出すぎるだろ!「お前の知っているジェクトはもういない」と言われているような気もするし、ブラスカ一行の旅も思い出されるし、、ぐぬぬと眉間に皺をよせてしばらく威嚇みたいな表情をしていた。揺さぶられた。
- 上述のストーリーとも関わってくるが、魅力的なキャラクター設定。主人公を筆頭にメインキャラ全員が人間らしくて好き。エボンの市民代表ワッカ、被差別民代表リュック、その対立、仲裁役お姉さんルールー、語らぬ年長者アーロン。キマリはその外見に反して癒し枠でした。
- 世界観にマッチしたBGMの数々。名曲《ザナルカンドにて》はもちろん最高。初っ端のビサイド島で本気ニューエイジ~アンビエント曲が流れてきたところもビビった。色々なフィールドBGMの欠片が《素敵だね》*1で収束するところも良い。あとはラスボス(と最初のムービー)の生演奏メタル《Otherworld》、もちろん痺れた。
- 声優が良い。特にティーダやリュックは演技じみておらず、良い意味で素人味がある。かといって全員があんな感じだと冷めるし、「上手い」声優しかいないとそれはそれでつまらない。程良いスパイスになっているということ。
- すべてのボス戦に独自のギミック・攻略法が用意されており、新鮮で楽しい。
- ゲームバランスが良い塩梅。接戦を楽しめる。
悪い点
- パズル要素「試練の間」が苦しすぎる。答えに必然的な理屈がないため、閃きではなく試行回数が求められる。それゆえ解けたときの爽快感は皆無。最後の神経衰弱みたいなのはそもそものシステムが粗雑だったうえに、明らかに6問ある見た目をしているのに4問+雑なギミックで終わったので、やるなら最後までやってくれ~!とまで思ってしまった。
- レンダリング済の高画質なものはスキップできるが、ゲームエンジンを使った長いムービーイベントだけ飛ばせない。ユウナレスカとラスボスは再戦するたびに5分くらい食う(しかも強いから何回も見るハメになる)のでかなりダルかった。
- 描写不足が気になる。特に、ティーダがジェクトを憎む一因となったティーダ母、ティーダに似ているらしい故チャップあたり。アーロンがどうやって夢のザナルカンドに行ったかという重要な説明も作中では全くなされていない。
- OPムービーや回想の形でなされる独白により、ザナルカンド時点でパーティが全員揃っているということが確定している。制作陣は緊張感を犠牲にして洒落た演出のほうを選んでいる。
- 「エンカウントなし」の装備と倍速機能(F1)のおかげで助かったが、フィールド移動と召喚獣の演出はかなりテンポが悪い。前者はポケモンでいう自転車みたいにチョコボを使いたかった。後者はクイックモードがあるけどそれでも長い。
個人的な反省点
- いくつか重要なネタバレを食らっていた。具体的には、シーモアバトルという曲の存在(エア本MADから)、「シンはジェクトだ」「俺、消えっから」というセリフ(ネットミーム)。有名すぎる作品なのでしょうがないとは思う。
- 対策に時間をかけすぎた。ユウナレスカ対策で混乱防御+αを集めるのに8時間(ここだけ必要以上にレベルを上げてしまったのかぬるくなってしまった)、シンの頭部対策でティーダがヘイスガを習得するのに4時間、ジェクト対策で完全石化防御を集めるのに2時間くらいかけた。
- 「1000年前」というワードに引っ張られすぎて、終盤までティーダはタイムスリップしてきたものかと思っていた(アーロンとジェクトが住人に知られているという矛盾はあったが)。シン体内潜入までには間に合ったが、夢のザナルカンドがどういう場所なのかを理解するのには結構時間がかかった。
- アニマを手に入れることなくクリアしてしまった。
- 早まって、黒魔法スフィアでユウナにブリザラを覚えさせてしまった。
- 黒魔法限定とは知らずに、特殊スフィアでユウナに連続魔法を覚えさせてしまった。
まとめとか
超楽しかった。世界観、音楽、ストーリー、サイコー。ちなみに、ラストシーンはじんわり来たとはいえ感動的すぎて泣けなかった。でも、もっと哀しい瞬間に涙はとっておきたい(ガチで)。ゲーム性は前述の通り、試練の間以外ほぼサイコー。ストーリーについてはそもそものヒントが少なかったので、クリア後すぐ、思考するAO氏の『【理解するFF10】時系列順 歴史&ストーリー完全解説』を観て、ストーリーの虫食い部分をだいたい埋めてだいたい腑に落ちた。非常におもしろい話し‼ 素晴らしい作品だったからこそ、クリアを境にただの思い出として脳内でホルマリン漬けにするのはもったいない。自分の創作に活かしたい。米津玄師がゲームの感想を曲にするみたいなことをしていたので、そういうこともしてみたいとか思ってたり。