テクニカル~ブルータル・デスメタルの大御所らしいDefeated Sanityの新譜『Chronicles of Lunacy』が非常に良い。超重量の暗黒サウンド、そこから滲む人間的な揺らぎ、目まぐるしい変拍子の嵐、荒々しいスピード感、ジャジーな柔軟性まで兼ね備えている。音響と軽い感触だけで面白いのだが、楽曲構造がかなり複雑なので一周しただけでは何が何だか分からない。とりあえず手始めに1曲目の《Amputationsdrang》だけ、1時間ほどパート毎にリピートしまくって咀嚼してみた。ちょっと端折ってるけど大体の構成はこんな感じになっている。
- A:3435 (最初のケツだけ3436)
- a:343355333(=4x4)
- B:3/4(画像上)
- b:9/4(画像下)
- C:5x4
- c:5547+5555
- D:8887+8888
ABbBbCcB-AaD-CcBa

一番ムズいBとbのリフのリズムだけ書き起こしておいた。たぶん合ってる。放っておくこともできたが、謎を解く欲求みたいなのが働いた。それに、久しぶりに5連符を聴いたのでつい嬉しくなってしまったというのもある。ここでは連符のグルーピングを一個後ろにずらして加速の錯覚を起こしている。面白い。他にも、bからCへの移行は6連符の音価を保持して進んでいたり、二回目のAは音程がほぼ聴こえずノイジーになっていたり、Dには5拍のポリメーターが隠れていたり、それぞれのブラストに異なる表情があったり、いちいち説明できないくらい変則的なシンバル捌きがあったり…。音韻情報だけでボリューム満点。
これはアルバムの全貌を把握するのに相当な時間がかかりそう。嚙めば嚙むほど、聴けば聴くほどのスルメ音楽であることは間違いない。Ulcerateの新譜はこういうのが全然なかったから惹かれなかったけど、これは良さソーダ。ソングライティングはGorgutsに近い感じなのかな?そう考えるとGorgutsもちゃんと聴きたくなってきた。ちょっと前に聴いたConfessorも分析したら物凄い快楽がなだれ込んできそう。泥沼だ。
一概にテクニカル・デスメタルといっても、単に演奏技術を求めるだけの自己目的的なものと、複雑な楽曲構造を実現するために高い演奏技術を要するものとで、二種類の「テクニカル」があるのかしら。