9月、一瞬で終わった割に取り立てて言うことも無い虚無の一ヵ月だった。いや、違う。片手で数えるほどしか外出せず、イベントに参加することもなく家に引きこもっていただけであって、決して虚無ではない。ケチャまつりやRISING SUN ROCK FESTIVALを堪能した8月に比べると物足りなく思えるのは仕方ない。ボーッと過ごした日はたぶん一度たりともなく、毎日何かしらの知見を得る活動を怠らなかったので、ちゃんと中身のある生活をした…ということにしよう。音楽に関しては毎日1枚以上のアルバムを聴いた。よし!ゲッツ!ミ!新しく聴いたアルバムは140枚。内訳は旧譜102:新譜(9月リリース)38。新譜の数は先月と同じで、旧譜をちょっと多めに聴いた感じ。
再生時間ランキング
恒例。8位はPurple Trapだけど表記がバグっている。
9月の再生時間トップ10アーティスト(Stats.fm調べ)
1位は、遂に再結成を果たした伝説的ロックバンドのOasis。私はOasisがどちらかというと苦手だったので、この機会に理解への一歩を踏み出そうとディスコグラフィを概ね網羅してみた。結局一周しただけでは理解できなかった。苦手なところだけ分かった。大味なプロダクション・安直でモサッとしたリズム隊・反復的で退屈な曲構成の三つほど。ソングライティングがこれらを上回って帳消しになる例もいくつかあったので、まだ理解の余地はあると思う。
とりあえず今の感触で各アルバムに順位を付けるなら『Morning Glory』がダントツで次に『Definitely Maybe』、そして『Dig Out Your Soul』(コンピがアリなら『The Masterplan』の方が上)が入る。
④SoG = ⑤HC = ⑥DBtT < ③BHN < ⑦DOYS <(Masterplan<)①DM < ②MG
再生時間2位は、なんか聴きたくなったNapalm Death。10枚目まで聴いた。3位は、心の奥底に溜まった暴力性を肩代わりしてくれるスーパーノイズの名手・Merzbow。4位はいつメンのMeshuggah。最近はボーカルや歌詞の譜割りに注目している。
- Animals as LeadersはMeshuggahとの共通点を探すために1,2,4枚目を聴いた。
- The Cureは新譜が11月に出るらしいから予習として。
- Collin Stetsonは新譜で初めて知った。気に入った曲を繰り返し聴いた。
- 裸のラリーズは『'77 Live』『'67–'69 Studio et live』の二枚。
あとは、単に収録時間が長くてランクイン。Aphex Twinは30周年だった『SAW2』が聴いたこと無かったから聴いた。Purple Trapはタイトルも収録時間も長いアルバムを一周しただけで8位になった。面白さは長さの割に普通。
ちなみに総再生時間は6969分だった。ダブルシックスナイン!
グッド新譜
- Davi Fonseca『Viseira』
刺激的なブラジリアン・プログレッシヴ・ポップ、おすすめ - Wool & The Pants『Not Fun In The Summertime』
曇りの日に似合う密室Lo-Fiファンク - 菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『天使乃恥部』
色気がすごい! - Colin Stetson『The Love It Took to Leave You』
ひとりの奏者と楽器、部屋の反響だけで形作られた音だと知り驚愕した。 - Pyrrhon『Exhaust』
絶叫マシン的マスコア~アヴァンメタル。 - Jamie xx『In Waves』
Floating Pointsよりこっち派。
グッド旧譜
- Les Rallizes Dénudés『'77 Live』
ふわふわパチパチとろけるノイズロック。良い! - Merzbow『Noisembryo』
暴力性の塊となって心に侵入してくる素晴らしいノイズ。 - Astor Piazzolla『Concierto de Tango en el Philharmonic Hall de New York』
Tango Nuevoの生みの親。エレキを導入した『Libertango』よりこっちの方が良い。 - The Jesus and Mary Chain『Psychocandy』
ヴェルヴェッツやラリーズとの共鳴。 - Various Artists『No New York』
初っ端が強すぎる。 - underscores『Wallsocket』
Hyperpopてのもいろいろあるんだ。 - The Allman Brothers Band『The Allman Brothers Band』
サザンロック好きの友人からのレコメンド、最後までブルースたっぷりで良かった。 - Aaliyah『One in a Million』
プロデューサー・Timbalandのことを知った。 - The Scratch Orchestra『The Great Learning』
- The Peter Brötzmann Octet『Machine Gun』
やかましくて最高。 - Confessor『Condemned』
浮いているように聴こえるボーカルは絶妙に溶け込んでいる。 - Discharge『Hear Nothing See Nothing Say Nothing』
楽しい。 - Napalm Death『Enemy of the Music Business』
つまらん
- Bump of Chicken『Iris』
- Tetsu Inoue『Psycho-Acoustic』
- 巻上公一, Anton Bruhin『Electric Eel』
- Discharge『Grave New World』
D-Beatという金字塔を打ち立てたあとボーカルが迷走してへなちょこグラムになるの面白い
わからん
Playboi Carti『Die Lit』という謎に出会った。なんだこれ!わからん!ビートは可もなく不可もなく。ラップはふにゃふにゃマンブル+オートチューンでひたすら同じフロウの反復。リズムが単調すぎてつまらない。良いと思った瞬間は《Lean 4 Real》のSkeptaバースくらい。《Poke It Out》のフックは耳に残ったけど馬鹿っぽい。馬鹿っぽいのがポイントなのか?バカポイポイ?バカポイポイ、バカポイポイ、バカポイポイ、
この頭カラッポでミニマルなアプローチ、なんか似てる人いたりしないかなあ。ヒントになるかもしれないし。少し頭を悩ませていたら、ふとJames Brownが思い浮かんだ。生演奏のファンクにタイトでに乗るJBと打ち込みのトラップビートにルーズに乗るCartiとでグルーヴに大きな違いはあれど、テキトーな歌詞をノリ重視でエネルギッシュに歌うボーカルスタイル、ハーモニーが希薄でシンプルなリズムを反復する伴奏という点では共通している。Playboi Cartiは精神的には現代ヒップホップ界のJames Brownなのかもしれない。なんてね!(試しにXで調べたら海外の人たちが割と比較してた。)
総括
まあ、いいや!ぴよんぴよんぴよーん、ブリンバンバンボンという気持ちでやっております、量は少ないけどそれぞれのアーティストを「濃く」聴いたので満足!時系列とか影響とかが頭の中に入って音楽マップがいっぱい広がった。やっぱり問題は自分の中で練り上げた理解をどうやって他人に伝えるか!Meshuggahとかずっと考えてて停滞してるのキツイ!知の快楽、実践の快楽、永遠に続いてしまうから「中断」したい~けどできない~こわい~