なるたけ遠くに逃避計画

THE ULTIMATE ESCAPE PLAN

興奮冷めやらぬうちに、BLANKEY JET CITYを全部聴く

 

先日WEEKEND LOVERSで目撃した、中村達也のジャキンジャキンに刺々しいドラミングが未だ脳裏に焼き付いている。一昨日、RISING SUN ROCK FESTIVALのレポを書きながら、ようやくBLANKEY JET CITYのアルバムを聴き始めた。最初はどのアーティストにしてもベストアルバムが良いと言われていて、ブランキーの場合も『国境線上の蟻』というオススメの一枚があるらしいのだが、私には「初めてのアーティストでも出来る限り1stから」というマイルールがあって、今回はそれに従う形となった。ちなみに、これまで私はブランキーを一切耳にしたことがなかった。《ガソリンの揺れ方》すら。

 

 

まずは『Red Guitar and the Truth』。ロカビリー色を前面に押し出した音楽性、歪みが少なく分離の良い3ピースサウンド、そして浅井健一の独特なボーカル。一応「ガレージ・ロック」という枠組みでもあってMichelle Gun Elephantと近い感触を期待していたが、むしろあまり触れてこなかったタイプの音楽だった。モフモフなプロダクションは演奏を活かしきれていないように思えてしっくりこなかったので、音韻情報を多めにキャッチしておいた。異質さを感じながら聴き進めていると、歌詞が面白かったり、5拍子の曲が出てきたり、メロディに歌謡感をあまり感じなかったり、いろいろ発見があった。5拍子の曲《不良少年のうた》は後にデビュー作だと知ったが、個人的にはその後の《TEXAS》の方が好きだ。

 

続いての『BANG!』はプロダクションが大幅に改善され、デッドでパキパキな音に。魅力がハッキリと浮かび上がってきた。BlueskyのFFさんにご教示いただいたのだが、どうやら彼らはインディー時代から既にこのようなサウンドを志向していて、1stではエンジニア(Sex PistolsThe Clashを手掛けたことで有名なJeremy Green)との相性が悪く、その良さが活かしきれていなかったという。2ndである今作は土屋昌巳をプロデューサーに迎えたことで見事ピースが埋まり、メンバーも「本当のデビュー作」と呼んでいたらしい(要出典)。

 

3rtd『C.B.Jim』は前作の正当進化系だと思う。《D.I.J.のピストル》《ICE CANDY》《3104丁目のDance Hallに足を向けろ》が好き。3104丁目って何。4ケタの丁目珍し。

 

EP『Metal Moon』はジャジーなイントロが2/3を占める一曲目から新しい。やはり表題曲の《鉄の月》が沁みた。4th『幸せの鐘~』はロックンロールから抜け出し、ソングライティングが変則的に。あまり好きではないが、《青い花》がズバ抜けて良い。

 

5th『SKUNK』は一番好きかもしれない。のっけからビリビリくる。まだ一回しか聴いていない段階だと《Dynamite Pussy Cats》が一番か。《Hell Inn》《斜陽》もいいな。私が惚れた中村達也のドラムが演奏録音共にキレキレの状態で記録されているのがかなりデカい。曲も音も良くて、バイブスも最高。

 

 

6th『LOVE FLASH FEVER』はジャケ写に反して全曲クオリティが高い。前作が一番好きと言ったけど、客観的に捉えたときのクオリティはこっちに軍配が上がりそう。揉めたこともあって土屋昌巳と別れ、全編セルフ・プロデュースになっているが、モダンで綺麗にまとまっている。《ガソリンの揺れ方》もあるが《感情》も好き。《皆殺しのトランペット》は次作の方向性を先取りしているようでもあって面白い。

 

7th『ロメオの心臓』は打ち込みを用いた異色作。ここでこうなるんだ。Radiohead『OK Computer』の影響らしいが、あそこまでプログレッシヴではない。なお《君の手のひらに》のサビのコード進行は思いっきり《Creep》なので、オケコンに限らず色々聴いていたのだろう。以前より音響に力を入れ、ループ感が強いジャングル・ポップぽい曲も複数あるが(④⑥⑨⑩⑪)、全体的に中途半端な印象。唯一《彼女は死んだ》だけ成功していると思う。

 

最終アルバムである8th『HARLEM JETS』は、正直微妙。無駄にラウドで平坦なプロダクションが、ダイナミクスを損なってしまっている(あと、ボーカルが前に出すぎな瞬間もある)。曲も《不良の森》くらい。よくわからない。

 

今日の夕方ごろにここまで聴き終わった。

で、現時点だと、良いと思った順はこんな感じ。

 

Red Guitar ≦ HARLEM JETS < ロメオ ≦ 幸せの鐘 < Metal Moon < BANG! = C.B.Jim < SKUNK ≦ LOVE FLASH FEVER

 

これがどう変わるか!?まだ三日でこれなので。ライブ盤を通して解釈が変わったり変わらなかったり。映像も全然見てないから。分かんないけど、ブランキーには今後もお世話になる。あ、中村達也ソロのLOSALIOSも、サブスク解禁の2枚とも聴いたよ~