暑い。裸足でベランダに出たら火傷になりかけた。明日はもっと暑くなるらしい。アポロン神ゆるして。あ、神といえば。ある説(記事)によると、ファンク・ミュージックの神は三位一体らしい。父の姿はJames Brown、息子はGeorge Clinton、そして聖霊はSly Stone。今日は聖霊・Sly Stoneがリードボーカル兼ソングライターを務める有名なファンクバンド、Sly & The Family Stoneを初めて聴くことにした。まず『There's a Riot Goin' On』。邦題は「Riot」からそのまま引っ張ってきた『暴動』。Panteraよろしくシンプルイズベストな二字熟語。本作のサイケでどこか陰鬱なファンクサウンドは、Sly Stoneが病んで薬物依存に陥り、バンドメンバーとの間に軋轢が生まれた結果として辿り着いたものらしい。確かに一曲目《Luv n' Haight》から「気持ちいいから動きたくない」と歌っており完全に様子がおかしい。Sly StoneのStoneってそういうこと!?
…肝心な出音はそういった情報を把握せずとも、割と明快にカッコいい。ちょっと音質が悪いボーカルは陽気で不気味。そんな中、痒い所(高音域)に手が届くワウギターのうねり。ブラス。ピアノ。ドラムも良い。私が何より惹かれたのはLarry Grahamのベース。生っぽくて良い感じに引っかかる音色からノリまで最高すぎる!(若干チューニングが低く聴こえるけど。)流石スラップの生みの親。
最初から最後までずっとほの暗い空気感を保ち続ける。《Family Affair》でもメロウな曲調とシリアスな歌詞のコントラストが映え、表題曲はなんと空白、《You Caught Me Smilin'》も引き攣っていて怖い。《Spaced Cowboy》ではリズムボックスを土台に据えた粒立ちの良い演奏を背にヨーデルを歌い出し、最後は《Thank You for Talkin' to Me Africa》、スローでねっとりグルーヴィなジャムセッションで締め。ここでもモタったベースが病み付きになった。
なるほど。問題作どうのこうのという情報から想像していたよりも全然聴きやすくて真っ直ぐだった。でもこれは聖霊の調子が悪いときの作品だ。ということで、流れで前作『Stand!』も聴いた。流れで、というなら本来こちらを先に聴くべきだったのかもしれない。やはり雰囲気が全然違う。再生ボタンを押して即スネアがドカーン、心地よい柔らかさ、ベースの存在感が薄く、M3始まりのメロディ、そんでサブドミナント。全然違う。ソウルフルでロックでアツくて快活。ファジーなギターだったりメロが強かったり、ダイナミクスが幅広かったり。
全体を通して《I Want to Take You Higher》とジャム感が楽しい《Sex Machine》(JBの有名曲とは無関係らしい)が好きだった。総合的にはこのアルバムの方がクオリティが高いと思う。でも好きなのは『There's a Riot Goin' On』かな。よりファンキーだし、健全に明るいよりも病んでいる方が個人的に親しみやすいからかもしれない。
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あっ、Marvin Gaye『What's Going On』の方もチェックしました。